肌の色や「外国人風」の見た目などを理由とした人種差別的で違法な職務質問を受けたとして、外国出身の3人が国、東京都、愛知県の三者を相手取り損害賠償などを求めた裁判の第2回口頭弁論が7月23日、東京地裁(岡田幸人裁判長)であった。
閉廷後に報告会を開いた原告側弁護団によると、被告の東京都と愛知県は、原告たちに不審な動きがあったため職務質問したなどとして、違法ではなかったと反論した。
原告側は、「人種」や「外国人に見える」という外見的特徴などを理由とした職務質問が違法だと確認することも訴訟で求めている。
これについて、被告側はそうした職務質問が違法だとする点は争わないとの姿勢を示した一方で、原告側の訴えは訴訟要件を満たさず不適法だと主張。請求の棄却や却下を求めた。
原告は20〜50代の3人。いずれも外国出身で、現在は日本で生活している。
原告のゼインさんは、パキスタンで生まれて8歳で来日。2011年に両親と共に日本国籍を取得した。「外国人ふう」の外見を理由に職務質問を繰り返し受けたと訴え、回数は15回ほどに上るという。
アフリカ系アメリカ人のシェルトンさんは、「ロックス」と呼ばれる髪が絡まった束状のヘアスタイルで生活している。永住者の在留資格があり、日本で約10年間暮らしている。
2021年、バイクに乗っている時に受けた職務質問では、交通違反がないにもかかわらず警察官に停止させられ、在留カードの提示も求められたと訴える。これまでに16、17回ほど職務質問され、提訴した2024年1月以降も2、3回職務質問を受けたという。
南太平洋諸島の国で生まれたマシューさんは、日本で少なくとも70回以上職務質問され、1日に2回受けたことが4度あると主張する。2021年に車を運転していた際に受けた職務質問では、警察官はマシューさんに交通違反はなく、不審者でもないと述べたが、「外国人の方が運転するのは珍しいから」だと説明したと訴えている。
警察などの法執行機関が、「人種」や肌の色、民族、国籍、言語、宗教といった特定の属性であることを根拠に、個人を捜査の対象としたり、犯罪に関わったかどうかを判断したりすることは「レイシャルプロファイリング(Racial Profiling)」と呼ばれる。
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原告側は、過去に受けた上述のような職務質問は、「人種」や「外国人風」の見た目を理由としており、法の下の平等(14条1項)や幸福追求権(13条)を保障する憲法に加え、人種差別撤廃条約や自由権規約に違反すると主張。
国などに対して原告一人当たり330万円の損害賠償の支払い(弁護士費用30万円を含める)のほか、レイシャル・プロファイリングによる差別的な職務質問の運用を違法だと認めること、国には差別的な職務質問をしないよう指揮監督する義務があることの確認を求めている。
原告側弁護団によると、東京都と愛知県は原告に職務質問をしたことは認めるものの、外国ルーツだからではなく、「警察官を避けたように見えた」など不審点があったからだと主張し、違法ではないと反論した。
また、指揮監督の義務について、被告の国は「都道府県に対して指揮・指導する権限はあるが、国民に対する義務ではない」として、請求の却下を求めた。
次回の口頭弁論は9月19日の予定。
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人種差別的な職務質問、被告の東京都など「不審な動きしていた」と反論【レイシャルプロファイリング訴訟】