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夏がやってきた。
年々暑さが増し、通勤するのも一苦労だ。
週終わりの金曜日には、一刻でも早くオフィスを後にして、友人との冷たい一杯や旅行を楽しみたい衝動に駆られる人も多いだろう。
そんな欲望を可能にするのが、「サマーフライデー」制度だ。
アメリカで週休3日制の普及以前に取り入れられていたもので、日本でも長時間労働の解消や働き方の自由度を高めるためのファーストステップになるかもしれない。
サマーフライデーとは、主に6月から8月までの夏の間、金曜日の勤務時間を柔軟にし、午後休もしくは終日休むなどの選択肢を選ぶことができる制度。ガートナーの調査によると、2019年時点でアメリカの企業の55%で導入されていたという。
サマーフライデーの起源の詳細は明らかになっていないが、BBCは、アメリカ・ニューヨーク市で1960年代に始まったと示唆する話があると報じている。広告代理店の幹部たちが、ニューヨークの郊外にある避暑地ハンプトンで週末を楽しむため、金曜日は仕事を早く切り上げて車で向かっていたのが始まりだという。
働く者にとってはプラス面しか思い浮かばないが、企業にもメリットがあるようだ。週3休に特化した求人サイト「4 day week」はこの制度の利点として以下の点を挙げている。
・ワーク・ライフ・バランスの改善
・生産性の向上
・従業員の士気と健康の向上
・人材の確保と定着
・欠勤と有給休暇の削減
・光熱費や管理費などの運営コストの削減
たくさんの利点がある「サマーフライデー」だが、誰もが恩恵を受けられるわけではないようだ。
この制度を導入できるのは、主にホワイトカラーなどオフィス勤務の従業員のみだと4 day weekは指摘。夏に繁忙期を迎える業種もあり、接客業やヘルスケア、物流などは業務時間を削減するのは難しいと述べた。
また、雇用形態も関係してくる。適用されるのは通常正社員のみで、フリーランスやパートタイムなどは逆に仕事や収入が減ることにも繋がりかねないと懸念を示している。
世界では今、欧米を中心に「4 day work week」つまり、週4勤務、週休3日の動きが広がっており、日本でも近年、導入する企業が増えている。
そうした背景やリモートワークの広がりもあり、2023年のガートナーの同調査では、サマーフライデーを導入している企業は大幅に減少しているという。
つまり、海外のワークトレンドは「金曜日の午後休もしくは終日休みをとる選択肢を与える」サマーフライデーから、通年の「週休3日制」やリモートワークを取り入れ、働き方がより柔軟になっているということだ。
一方の日本ではどうか。
コロナ禍以降、リモートワークの導入は進んだものの、これまで様々な取り組みが推進されてはフェードアウトしていった。
2017年、月末の金曜には15時まで仕事を切り上げ、余暇を楽しみ、消費活動を促進しようと、政府が「プレミアムフライデー」を提唱。
2018年には、週末をめいっぱい楽しめるように、月曜の午前休を促す「シャイニングマンデー」が推進された。
残念ながら、どちらも定着することはなく、欧米のトレンドとはかけ離れているのが実態だ。
しかし、あれから時は経ち、日本人の働き方も変化してきている。
もしかしたら、今度こそ導入が広がり、定着する可能性があるかもしれない。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
夏の金曜は働かなくてもいい。アメリカで浸透する「サマーフライデー」は、企業にもメリットがある