11月に行われるアメリカ大統領選挙に向け、共和党から正式に大統領候補に指名されたトランプ氏は7月15日、副大統領候補にJ・D・バンス氏を選出した。
バンス氏とは、一体どんな人物なのだろうか?
バンス氏は、現在39歳(2024年7月16日現在)のオハイオ州選出の上院議員。議会で最も積極的なトランプ擁護者のひとりだ。
「トランプ氏はタフでおもしろい。過激な発言をする時もあるが、実際の意思決定となると、今この国を代表する誰よりも慎重で用心深い」とバンス氏は6月、ブライトバートニュースに述べている。
オハイオ州の「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」と呼ばれる地域出身のバンス氏。元海兵隊員でイエール大学のロースクールを卒業しているが、彼を最も有名にしたのは、母親の薬物依存や、貧しい幼少期から米海兵隊そしてイエール大学への道のりについてのエピソードなどが盛り込まれた回顧録「ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち)」だ。
2016年に出版された同書はベストセラーとなり、バンス氏は一躍有名になった。
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現在はトランプ氏を支持しているものの、政治家になる前のバンス氏は、トランプ氏に批判的な発言をしていた。
ベストセラーになった「ヒルビリー・エレジー」についてメディアに語ったバンス氏は、トランプ氏がアメリカの問題に対して誤った解決策を提示しているとたびたび批判。当時、トランプ氏に「我慢できない」と述べ、ヒラリー・クリントン氏に投票することを検討しているとさえ語っていた。
しかし、2021年に上院選に出馬し、共和党予備選の混戦に直面すると、バンス氏はトランプ氏に対する態度を一変。
「2016年の私の発言で判断しないでほしい。批判的なことを言ったこと、そしてそれを後悔しているとオープンに認めている。トランプ氏に対しての自分の考えは間違っていたことを後悔している」「彼は良い大統領だったと思っている」と2021年、Fox Newsに述べた。
バンス氏はトランプ氏の支持を得て予備選に勝利し、2022年には最年少上院議員の1人となった。
トランプ氏の前副大統領であるマイク・ペンス氏は、2020年の選挙結果を覆そうとするトランプ氏の企みに賛同せず、トランプ氏や暴徒から怒りを向けられた。
バンス氏は、2021年1月6日に起こった米連邦議会襲撃事件についてそう悪いことだと思わないとNew York Times紙の最近のインタビューで述べている。
バイデン陣営は7月15日の声明でバンス氏を批判。「トランプがJ.D.バンスを伴走者に選んだのは、バンス氏が1月6日にペンス氏がやらなかったことをやるからだ」と述べた。
バンス氏は、ウクライナに対するアメリカの援助に対して、上院最大の批判者のひとりだ。
バンス氏はウクライナへの最新の軍事・経済援助に反対票を投じており、4月のNew York Times紙の論評では、ウクライナに対するロシアの人的優位を克服する計画がアメリカには欠けていると主張。その代わりに、ウクライナが和平を達成するには領土譲歩が必要だと認識するよう求めた。
2月のミュンヘン安全保障会議では、ウクライナのゼレンスキー大統領との会談を拒否した。
とはいえ、バンス氏が完全な孤立主義者というわけではない。バンス氏は中国との対立がアメリカの戦略的優先事項と考えており、台湾の支援に使えるはずの米軍資源がウクライナで枯渇するすることを懸念している。
7月14日に起こったトランプ氏の暗殺未遂事件を受け、トランプ前大統領は神に感謝し、受諾演説をより国民の団結に焦点を当てたものに書き直すと語った。
「もしこのようなことが起こらなかったら、非常にタフなスピーチになる予定だった」が、今は「より団結を訴えるスピーチになっている」とトランプ氏は15日、Washington Examinerに述べている。
一方、バンス氏は暗殺未遂に対して全く異なる反応を示し、トランプ氏を国の民主主義に対する脅威として描いた民主党を非難。バイデン陣営はトランプ氏が権威主義的ファシストで、なんとしても阻止しなければならないということを前提としており、そのレトリックが暗殺未遂に直結したとXに投稿した。
しかし、現時点でそれを裏つける証拠はない。
バンス氏は政界入りする前、カリフォルニア州シリコンバレーで保守派の富豪、ピーター・ティール氏のベンチャーキャピタル企業に勤めていた。
また、バンス氏の地元オハイオ州はすでに共和党支持が強く、今年の選挙において、新たな州でのトランプ氏勝利を確実にできるわけではない
しかし、ケンタッキー州出身の両親に育てられたバンス氏は、重要な激戦州であるミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルバニア州で重要な役割を担う労働階級者や低所得の白人コミュニティーとのつながりを主張する。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
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