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脱炭素社会の早期実現に取り組む企業244社が加盟する「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」は7月2日、気候変動対策に関する提言を超党派の「カーボンニュートラル」議連に手渡した。
「超党派カーボンニュートラルを実現する会」総会の冒頭、共同代表の自民党・小渕優子衆院議員は「去年は観測史上最高に暑い夏でしたが、今年もそれに匹敵するような暑い夏になりそうです。そしてやはり心配されるのが水の被害です」と話した。
「もうすでに局地的に雨が降っていますし、全国各地今年もどんな災害が起こるか心配されるところです。気候変動対策を政治の場からしっかり後押しをしていきたいと思っております」
立憲民主党の福山哲郎参院議員はインドで5月、気温が過去最高の52.9度を記録したことに触れ、「世界中で本当に考えられないような異常気象が起こっています。もうすでに人間社会に確実に影響を及ぼしています」と述べた。
「我々は超党派の仲間ですので、党派のいろんな利害を超えて、地球、そして人類のために何とか良い形で気候変動対策を進めていきたい。今日の提言は企業や研究所の参加もあり、大切な提言になってると思いますので、しっかり受け止めて、各党・政府に強く求めていきたいと思います」
JCLP共同代表でリコーの山下良則代表取締役会長は「2024年1月にCOP28の報告会をした際、今年は非常に大事な年になるので、前向きな政策の後押しをするような企業行動をしていきたいというふうに申し上げました。今日はその約束を守るべく来ました」と語った。
同じくJCLP共同代表で戸田建設の今井雅則代表取締役会長は「建設業を含めたエッセンシャルワーカーが、温暖化で夏場はもう働けなくなってきています。生産性だけでなく、人権の問題に関わってくるような厳しい状況にますますなってきています」と訴えた。
JCLPの提言では、▽2035年までに温室効果ガス排出量75%以上削減(2013 年度比)▽2035年の電源構成における再エネ比率を60%以上にすること▽エネルギー需要家の参画機会を増やす等、政策の「決め方」の改善を求めた。
現在、日本政府の2030年までの目標は、「温室効果ガス46%削減、50%の高みに向け挑戦(2013年比)」、「電源構成における再エネ比率36%〜38%」だ。
しかし、IPCC第6次統合報告書をもとに計算すると、パリ協定が定める「1.5℃目標」のためには、世界全体で2035年までに温室効果ガス67%削減(2013年比)が求められるという。
JCLPは、先進国の責任として先行して温室効果ガスを削減する必要があると同時に、企業の投資喚起には野心的な政府目標の開示が求められるとして、2035年までに75%以上の削減を目指すべきだと提言した。エネルギー利用の効率化と再エネの大幅拡大をすれば実現可能な目標だという。
提言した温室効果ガス削減目標と再エネ比率を達成するための具体策として、「屋根置き等の太陽光発電の導入加速」や「洋上風力の産業化・導入加速」、「再エネ中心の電力インフラ改革」などのほか、建物、製造業の脱炭素化、自動車のゼロエミッション化、効果的カーボンプライシングなどを提言した。
また、現在第7次エネルギー基本計画について議論が行われているが、エネルギー関係の検討会など政策決定プロセスに、国際競争に晒されている再エネ調達需要家企業が十分に参加できていないとして、参画機会の増加を求めた。
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企業240社超が「2035年までに温室効果ガス75%削減」「再エネ比率60%以上」などを政府へ提言