アスパラガスは「立て茹で」がおすすめ。その理由とは?アスパラガスの保存&調理テクニック

2024/05/16 05:00 ウェザーニュース

国内産のアスパラガスが旬を迎えています。
緑鮮やか、香りも若々しくフレッシュで、食感もシャキッとしたアスパラガスは、茹でてよし、炒めてよし、和・洋・中のいずれも合い、値段も手ごろで人気があります。

アスパラガスはとても栄養が豊富ですが、保存や調理法によって栄養や美味しさを逃さず美味しく食べることができるそうです。詳しい話を、野菜ソムリエプロの吉田謹子さんに伺いました。

アスパラギン酸豊富で他の栄養も

アスパラガスにはグリーン、光を遮断したホワイト、品種が異なる紫の三色があります。

「このうち、もっともポピュラーなのがグリーンアスパラですが、この季節の太陽光をたっぷり浴びて緑が大変鮮やかです。

栄養成分としてはエネルギーの生成や体の成長を助けるビタミンB群、美肌効果のあるビタミンC、骨の健康維持に役立つビタミンK、葉酸、そして主に穂先に含まれる抗酸化作用が期待できるルチンなどがあります。

また、その名の由来にもなったアスパラギン酸は、アスパラガスの旨味成分のひとつですが、栄養ドリンクの成分にもなっているくらいです。新陳代謝を活発にし、疲労を緩和する効果があると言われています」(吉田さん)

保存で注意したい驚異的な成長力

美味しいだけでなく、栄養も豊富なので無駄なく摂りたい野菜のひとつです。

「若い穂先と茎を食べるアスパラガスは、生長期には1日に8cm程度も伸びる驚異的な力を持っています。この力は収穫後も働き、横向きに置いておくと自身の糖分や旨味成分を消費しながら穂先から立ち上がろうとします。

また、収穫時に切断すると、早く木になろうとして根元から繊維が発達して筋ばって固くなってきます。この繊維の発達も横向きに置いたほうが早くなります。蒸散作用も活発なので、収穫後は水分が失われ、鮮度が急激に落ちていきます。

つまり横向きにして長時間置いておくと、味が格段に落ちやすくなるということです。

アスパラガスを美味しく食べるためには、鮮度の良いものを買ってすぐ調理することが重要なのです。

どうしてもすぐに調理できない場合は、グラスや半分に切った牛乳パックなどの底に水を含ませたキッチンペーパーを敷き、そこにアスパラガスを立ててポリ袋で覆って保存してください」(吉田さん)

茹でるならそのまま「立て茹で」がベスト

鮮度の良いアスパラガスを調理するのも「立て」がポイントだそうです。

「アスパラは茹でることが多いですが、鍋が小さいからと切ってから茹でる場合があるかもしれません。しかし、これではせっかくのアスパラガスの栄養成分や旨味成分が切り口から流れ出す原因になります。

そこで、アスパラガスを美味しく茹でるには、出来るだけ切らずに長いまま茹でると良いでしょう。根元の固い皮はピーラーなどで削ぎ取り、気になるようなら三角形のハカマも取り除きます。

また、穂先には若い細胞の多く、ふつうに茹でてしまったら、穂先から糖やアミノ酸などが流失しやすくなってしまいます。

そのため、沸かした湯にサラダ油を少々入れ、アスパラガスを束ねて手で握り、立てて10秒茹でます。それから横にして40秒茹でてください。

その後は冷水にとらず、そのままザルにあげて冷まします。油を入れているので、アスパラガスの周りに油の膜ができ、その余熱で柔らかくなり、美味しく仕上がります」(吉田さん)

6月ぐらいまでが旬のアスパラガス。サラダや炒め物、お弁当のおかずにと何にでも使える人気食材を上手に保存調理して、最後まで美味しくいただきましょう。

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