【こちらもおすすめ】急増する詐欺「クイッシング」に気をつけて。QRコードで痛い目に遭わないための5つの対策ポイント
「聞こえますか?」 「あなたですか?」 「そこにいらっしゃいますか?」
こうした質問を通常の会話で尋ねられた場合、普通ならきちんと答えるべきだろう。しかし、知らない電話番号からの通話の最初にこう質問された場合は、警戒するべきだ。
もしかしたらその電話は、最近海外で急増している詐欺かもしれない。
北米で悪質な広告や顧客の苦情を追跡している非営利団体「Better Business Bureau」の広報担当者メラニー・マクガヴァン氏によると、3月半ば以降、こううした手口の詐欺についての相談報告が増えてきているといい、同団体は新たな警告を発している。
手口はこうだ。
見知らぬ番号から電話をかけ、最初にあなたに「聞こえますか?」と質問し、「はい」と答えるように仕向ける。犯人は政府や銀行の職員を装って電話を続けようとするかもしれないが、多くの場合、質問の直後に電話を切ることが多い。
それは、犯人の目的があなたに「はい」と言ってもらうことで、電話越しに相手がいることを確認することだからだ。「現在も有効な電話番号だと知った犯人は電話を繰り返し、あなたの隙を狙って騙そうとするかもしれない」とマクガヴァン氏は話す。
デポール大学の法廷会計学教授であり、詐欺についての著書をもつケリー・リッチモンド・ポープ氏は、無作為な「聞こえますか?」という質問は、その電話が詐欺かもしれないと気づく、最初の赤信号だという。
知らない番号からの「聞こえますか?」で始まる会話は、「通常の会話の流れから大きく外れているため、疑わしい」とポープ氏は説明する。
しかし前出のBetter Business Bureauは、「聞こえますか?」という電話の後に、金銭的な損失の報告はなかったと述べている。
同団体は、最悪の場合、犯人はあなたの「はい」と言う録音を使用し、携帯通信事業者からの請求書に、未承認の外部コンテンツ利用料を紛れ込ませる「クラミング」でお金を騙し取るかもしれないという。「クラミング」は、アメリカでは頻繁に使われる詐欺手口だ。
「あなたの『はい』と言う音声がどのように使われるか分かりません。銀行やクレジットカード会社との電話で、新たな信用枠を作るために使われるかもしれない」とポープ氏は述べる。
しかし、米非営利団体AARP Fraud Watch Networkの被害者支援ディレクターであるエイミー・ノフジガー氏は、「聞こえますか?」という質問自体は大きなパニックを引き起こすものではないと話す。
ノフジガー氏は、AARPのデータベースからはこうした質問への応答と「クラミング」や金銭的な詐欺との関連性を示す証拠はない、と強調。逆に、実際に大きな金銭的損失や精神的ダメージを引き起こすことが分かっている「なりすまし詐欺」や「ギフトカード詐欺」に対してより心配すべきだという。つまり、電話の相手が「聞こえますか?」という質問後も話を続けるなら、その方が注意すべきことだ。
「個人情報や暗号資産ATMについて聞かれたり、プリペイドギフトカードを要求されたなら、 それは100%詐欺です」
自分の個人情報を危険にさらしてしまったのではないかと心配することはストレスになる。しかし、安心のためにできることもある。
1. 冷静になる
ノフジガー氏はこれまで対応してきた人たちについて、「『聞こえますか?』との質問に『はい』と答え、パニックになっている人々を見てきました」と語る。
犯人が「勝利」するのは、あなたが恐怖や不安で動揺しているとき。その時あなたは、常識の感覚を失っている可能性が高い。「人々にはこの恐怖モードで対応するのではなく、自信を持って対応してほしいです」
知らない電話があなたを不安にさせるなら、見知らぬ人にすぐ情報を教える前に、一息つこう。
そして、見知らぬ人があなたに「聞こえるか?」と尋ねたときに「はい」と答える代わりに、逆に「なぜ尋ねるのですか?」質問し返すことをノフジガー氏は推奨する。
「そうすると、あなたは自分の電話や他の機器のコントロールを取り戻すことができます」と話す。
2.「あなたを知っている」と主張されても警戒する
電話の相手があなたの名前を知っていても、警戒心を解くべきではない。公的記録やソーシャルメディアから多くの情報を得ることができるからだ。
詐欺師はあなたと親しくなろうとするが、それはあなたが「通常よりも多くの情報を提供する」よう促すためだとポープ氏は説明する。
3. 関与しない
言うべきではないことを言ってしまうのを防ぐ方法の1つは、知らない番号からの電話には出ず、留守電に任せることだ。そうすれば、それが正当なものかどうかを評価するための時間がより多く確保できる。
マクガヴァン氏は、詐欺師だと疑われる人と話すことは勧めないという。もし話すと、「詐欺師はあなたの番号が今も使われていると知ってしまうので、あなたに電話をかけ続けるでしょう」と説明。 「それが医者からの予約確認など重要な電話であれば、相手はメッセージを残してくれるでしょう」とマクガヴァン氏は述べた。
・自分の口座をしっかりチェックする
詐欺が心配な場合は、請求書やクレジットカードの明細を確認し、未承認の請求がないかをチェックしよう。詐欺が発生した場合は、届出を提出することも可能だ。(日本の政府は、振り込め詐欺などにあった際は、まず警察、その後金融機関に届け出るよう推奨している。また消費者ホットラインなども設置されており、相談が可能)
また、自分の情報が危険にさらされているのではないかと心配な場合、銀行やクレジットカード会社に連絡し相談することもできる、とマクガヴァン氏は述べた。
日本ではオレオレ詐欺や還付金詐欺が有名だが、こうした「聞こえますか?」詐欺のような、声紋録音による電話詐欺は行われているのだろうか?
警視庁に尋ねたところ、管轄する東京都において、現在まで声紋を利用した特殊詐欺の被害や相談の把握はないとのこと。
詐欺電話への対策としては、まず、知らない電話番号や非通知の電話には出ない、留守番電話にして犯人との会話を防止するなど、「犯人からの電話に出ない対策」をとることが大事だという。
もし詐欺被害に遭った場合には、最寄りの警察署に相談または110番通報して警察へ届出るよう呼びかけている。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集・加筆しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
海外で急増する「聞こえますか?」電話詐欺。いったいどんな手口なのか