75.6%。これは、調査で「法律上同性カップルの結婚を法律で認めるべきだ」と答えた人の割合です。
結婚の平等(同性婚)を実現すべきという声は社会の中で高まっています。
全国の地裁や高裁でも、性的マイノリティが結婚を認めらていない今の状態を違憲とする判断が次々に言い渡されています。
それでも、与党・自民党所属の歴代首相は「我が国の家族の在り方の根幹にかかわる問題」「憲法上想定されていない」という答弁を繰り返すばかりで、結婚の平等を実現しようという姿勢を一切見せていません。
この姿勢を、LGBTQ+当事者やアライ、家族はどう感じているのでしょうか。東京・代々木公園で4月20〜21日に開かれた東京レインボープライド(TRP)の会場で、「結婚の平等を実現しない国に言いたいこと」を書いてもらいました。
「家族として婦婦(ふうふ)として法的に認められない日本を出て、法的に認められるカナダに行きます。家族として帰ってくる日を待っています!」
子育てをしている/したいLGBTQ当事者をゆるやかにつなぐ団体「にじいろ家族」のくみさんは、結婚ができないために、パートナーの出身地であるカナダに移住することを決めたそうです。
「日本では私たちが法的に婦婦(ふうふ)として認められないため、カナダ人のパートナーは配偶者ビザを取得できません。一緒に出産、子育てをしてきましたが、日本でパートナーと私は法的には他人で、子どもと私のパートナーも他人状態です」
「でも、カナダでは私たちはふうふとして受け入れられるし、パートナーと子どもを法的な親子になります。だから移住を決めました」
「パートナーも私も、本当は一番大好きな日本にいたかった。私たちにとって、結婚できるかどうかは、将来日本に帰って来られるかどうかの問題です。日本はいい国です。だけど、人権がないところでは生きられないのです。私たちふうふに、当たり前の人権を認めてほしい」
「自治体は進んできているのに国がなかなか動かない!早く法制度を!!」
九州レインボープライドを運営するNPO法人「カラフルチェンジラボ」の理事を務める福村仁志さんは「結婚できない同性カップルのために、地方や自治体は何とかしようと動いてくれているのに、国は何もしようとしない」と話しました。
「なぜ(結婚の平等の)法制化がダメなのでしょうか。選択的夫婦別姓もそうですが、世界は時代にあわせて動くのに、なんで日本は変わらないのだろうと思います」
「国が何もしない間に、(結婚が認められないLGBTQ当事者は)どんどん年を取っていきます。大切な人の最後を看取れないということも、現実に起きているのです。本当に早くしてほしい。ただその思いです」
「早めに男女結婚と同じような権利がほしい!!法律的な保障がほしい!!」
台湾出身の粉(フェン)さんは、さっぽろレインボープライドの実行委員のひとり。日本で暮らす外国人の同性カップルが、直面する悩みがあるといいます。
「外国人が日本に住むためには、在留資格が必要です。結婚している外国人の異性カップルは、どちらかがビザを持っていればパートナーにも家族滞在ビザが支給されます」
「でも同性同士だと家族滞在ビザは支給されず、特定活動のビザを取得しなければなりません。そのための手続きは複雑ですし、配偶者であるパートナーも、日本では家族として扱われません。また、日本人と外国人の同性カップルの場合は、パートナーに特定活動のビザも認められていません」
「台湾はパートナーシップ制度を導入した後に結婚の平等が実現しました。今は、パートナーシップも結婚もどちらも利用できます。結婚の平等が実現して、とても暮らしやすい社会になっていますよ」
「同性婚も大事 夫婦別姓も是非!!」
性的マイノリティの老後を考え、つながりあうNPO「パープルハンズ」のブースでお会いした白石さんは、結婚の平等と選択的夫婦別姓の両方が大事だと話してくれました。
「32年一緒に暮らしているパートナーがいます。同性カップルが平等であるために、同性婚を実現するのは当たり前のことだと思っています」
「あと、彼の名前も大好きだけれど、自分の名前も大好きなので、結婚するにしても、自分の名前も相手の名前も大事にしたい。だから選択的夫婦別姓も実現してほしいです」
「誰にも迷惑をかけません!幸せな人が増えるだけ!」
「幸せな人が増えるだけ!」と力強く書いたのは、誰も排除しない/されない社会を目指す一般社団法人「Get in touch」の理事長で俳優の東ちづるさん。
東さんは結婚の平等は「人権なんですよ」と強調しました。
「これまでの制度や“普通”という考え方は、マジョリティが無自覚のうちに作ってきたもので、そこではLGBTQ当事者はいないものにされていました。でも今、私たちの社会はLGBTQ当事者がいるということを知っています。だから社会をアップデートすべきなのです」
「日本は基本的人権が保障されるはずの国です。海外に行くと『なぜ日本では同性カップルは結婚できないの』と聞かれますが、答えられません」
「結婚の平等を実現しない理由が私には全くわからないし、これまで一度も納得いく説明を聞いたことがありません。反対する人は、みんなふんわりとした理由を挙げるけれど、論理的な説明は一つもありません。日本は愛の先進国、人権先進国にならなきゃいけないと思います」
「私だって男のパートナーと幸せになりたいよ。なんか悪い?」
2017年にゲイであることを公表した声優の三ツ矢雄二さんは、「個人の幸せを尊重してほしい」と話しました。
「20歳から30代半ばくらいまで、男性パートナーと一緒に住んでいました。その人と別れてからは相手が全然現れないのですが、そろそろ老後をともにゆっくり過ごせるパートナーがほしい。なんか悪い?」
「男性同士のパートナーで幸せになることは、世の中の人の迷惑になることでは全くありません。個人が幸せになれば、国も幸せになるだけです。個人の幸せを尊重してほしいと思いますし、それは男女に限ったことではありません!」
「時間は有限 いますぐ同性婚を認めてほしい!!」
アメリカで結婚しているYouTuberのせいごさんとブレンさんは、2023年に日本に帰ってきました。
アメリカでは法律上も家族のふたりですが、日本では同性カップルの関係が法的に保護されないため、不安と隣り合わせだといいます。
「日本では同性婚が認められていないため、パートナーは今、『同居人』という形で日本にいます」
「心配なのは、お互いに何かがあった時です。病気になったり、どちらかが亡くなったりするような事態が発生した時に、家族として認められないのではないかという不安を感じています。一刻も早く同性婚が認められて、心配を減らしたいです」
グレンさんも、せいごさんと同じ気持ちだといいます。
「他の異性のカップルと全く同じ結婚生活をしているのですから、同じ扱いをしてほしいなと思います」
大阪からTRPに参加した、ふたりママのチャンヌファミリーの長男と次男も、結婚の平等への想いを書いてくれました。
小学校3年生の次男が書いたのは「せかいをへいわにするにはどうせいこんはひつようだ!!」というメッセージ。
この想いについて「同性婚がなければ、同じ性別の人たちは、結婚ができません。結婚ができなければ平和もないと考えました」と話してくれました。
中学校3年生の長男は「諦めずに最後まで」とつづりました。
長男と次男の両親、チャンヌさんとるいさんは同性同士であるため結婚が認められず、4人家族全員で法的な家族になることができません。
2023年に岸田文雄首相が、結婚の平等について「家族観や価値観、社会が変わってしまう」と発言したとき、長男と次男は首相に手紙を出して、「同性婚をできるようにしてほしい」と訴えました。
長男の「諦めずに最後まで」という言葉には、結婚の平等を求めるすべての人への連帯の想いが込められています。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
結婚の平等を実現しない国に言いたいこと「幸せな人が増えるだけ!」「どうせいこんはひつようだ!」