アサリが旬を迎え、潮干狩りにも良い時季になりました。酒蒸しにお味噌汁などの和食ばかりでなく、クラムチャウダーやボンゴレなど、味の良さから人気のあるアサリは、人気のある食材の一つです。
一方、二枚貝としてアサリと並んでポピュラーなのがシジミ。旬は種類や産地によっても異なりますが、赤だし味噌汁やお吸物など、いつ食べても安定の美味しさがあります。
このアサリとシジミ、栄養豊富なのはどちらでしょうか。管理栄養士の柴田聡美さんに伺いました。
「アサリは、春と秋に産卵期を迎え、その直前は身がふっくらと太って味が良いとされています。ちょうど潮干狩りができるこの季節に旬を迎えます。
一方、シジミは種類によって旬が異なります。
「シジミは種類が豊富な上に、産地によっても旬が違っているので、1年中旬があるイメージです。
たとえば、『マシジミ』の中でも寒い地域の淡水で育つ『寒シジミ』や、滋賀県で獲れる『瀬田シジミ』は1月~4月ごろまでが旬です。このほかによく店頭で見かける『ヤマトシジミ』は夏が旬となります」(柴田さん)
アサリとシジミは最もポピュラーな二枚貝ですが、栄養価に違いなどはあるのでしょうか。
「どちらも和洋中と何にでも合いやすい食材ですが、栄養価にはかなりの違いがあります。
まずカロリーで言うと、シジミはアサリの2倍、炭水化物はなんと約11倍も含まれています。ダイエットを気にする方はシジミよりアサリ、ということになるかもしれません。
他の栄養成分にもかなりの違いがあります。
ミネラル類でいうと、アサリは300種類以上の酵素を活性化する働きがあり、筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温・血圧の調整にも役立つマグネシウムがシジミの約9.2倍含まれています。
さらに、細胞内外のミネラルのバランスを保つために不可欠なナトリウムが約4.4倍、塩分を体外へ排出し血圧を下げ、むくみの解消などに効果があるといわれるカリウムがシジミの約1.7倍含まれています。
一方シジミは、赤血球の形成を助け、多くの体内酵素の正常な働きと骨の形成を助ける銅がアサリの約8.2倍、鉄欠乏性貧血の予防、髪・肌へのダメージの回復が期待できる鉄が約3.8倍、骨格を構成する重要な物質であり、日本人は不足しがちと言われるカルシウムが約3.6倍含まれています。
ミネラルは生命維持にとって重要な栄養素ですが、人間は体内でミネラルを合成できず、食事から摂らなければならないので、ミネラル豊富なアサリ、シジミを適量食べることは健康を保つうえでもとっても重要です。
そのほか、DNAの生成を助けるビタミンB12は貝類に多く含まれていますが、中でもシジミはアサリの約1.5倍含まれています」(柴田さん)
アサリやシジミには他の食材にはあまり感じられない独特の旨味があります。
「アサリやシジミの旨味の正体は『コハク酸』と呼ばれるものです。コハク酸はシジミよりアサリに多く含まれています。加熱するだけでとても美味しい旨味が出てくるので、酒蒸しや味噌汁、鍋物など旨味の出た汁ごといただく料理には絶好の食材です。
コハク酸は旨味だけでなく、細胞分裂や血流、新陳代謝などに効果があると言われています。美味しさだけでなく、健康維持のためにも役立つ食材と言えます。
調理する際には、砂抜きが必要な場合があります。アサリは3%、シジミは1%程度の塩分濃度の水を作ってバットなどに貝が重ならないように並べて1時間以上、布巾をかけて冷暗所に置いておくと砂を抜くことができます。特に潮干狩りで獲ってきたアサリは砂抜きをしっかりしましょう」(柴田さん)
アサリとシジミはどちらもそれぞれに栄養豊かでした。抜群の旨味も備えています。この春はさまざまな料理に活用してみませんか。
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