2023/04/19 10:20 ウェザーニュース
あさりはみそ汁の具としてはもちろん、バター焼きや酒蒸しなどおかずとしても酒のつまみとしても人気のおいしい食材です。潮干狩りシーズンでもある春のこの時期が旬とされています。
そんなあさりを下ごしらえするときにほんのひと手間加えるだけで、ワンランクおいしくなるテクニックがあるそうです。発酵美容家のザイマリさんに、驚きの裏ワザについて伺いました。
「あさりの旬は春と秋といわれていますが、とくに4月から5月にかけては産卵を控えて身がふっくらして、旨みが豊富になるおいしい季節です。
あさりを砂抜きする時に塩水を使いますが、その塩水にはちみつを1滴たらすことで、あさりの旨(うま)みがアップします」(ザイマリさん)
そこにはどんな理由があるのでしょうか。
「はちみつに含まれるブドウ糖(グルコース)のおかげです。あさりの旨みは体内に存在するコハク酸という成分によって生み出されますが、ブドウ糖にはこのコハク酸の量を増加させる性質があるからです。
これは、独立行政法人水産総合研究センターの研究によって『ブドウ糖を海水に入れるとあさりの旨み成分が増える』と証明されています。出荷前のあさりをブドウ糖を添加した海水に24時間漬けたところ、コハク酸の量が2.8倍になったそうです。
センターの試験では1Lあたり100mgのブドウ糖を加えたそうですから、0.01%の水溶液に浸したことになります。砂抜きの際、それを目安に砂抜きの塩水にはちみつをたらせば、あさりの旨みが3倍近く増えるのです」(ザイマリさん)
あさりにブドウ糖を与えることは、成長の促進にも役立つそうです。
「あさりに餌料を与えて飼育する際、海水にブドウ糖を添加しておくことで、あさりの成長速度が約3割促進されることも、水産総合研究センターが解明しました。
ブドウ糖はあさりの餌そのものになるのではなく、栄養補助剤(サプリメント)として栄養不足を改善しているとのことです」(ザイマリさん)
はちみつで旨みを増したあさりですが、おいしく食べるにはそのほかにも十分な下ごしらえが必要です。
「まず、あさりを水でこすり洗いします。これはあさりの表面についた汚れや腸炎ビブリオ菌を取り除くためです。このとき、死んでいるあさり(口が開いて水管が出てしまっているもの)も取り除いておきましょう。さらに水道水でよく洗います。
続いて、海水と同じ3%の塩水に浸し、常温、暗所で2、3時間砂抜きをします。500mlの水なら大さじ1の塩を入れ、あさりが全部隠れるくらい浸します。この際にはちみつを1滴加えます。海と同じ環境にすることであさりは呼吸をして砂を吐きます。潮干狩りで獲った場合は、4時間ほどの砂抜きが必要です。
また、海中と同じくらいの水温20度前後の暗いところの方があさりは活発になります。低温だとあさりは休眠状態になってしまいますので、冷蔵庫には入れないでください」(ザイマリさん)
水産総合研究センターはこの研究成果を日本水産学会で発表し、特許も出願したそうです。公的機関のお墨付きを得たはちみつの効果を、“家飲み”のお友としてあさりの酒蒸しなどで試してみてはいかがでしょうか。
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