同性パートナーにローンのペア返済認める地域金融機関は2割。LGBTQを想定した商品設計、発展途上

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住宅ローンなどの金融商品で、「配偶者」の定義に同性パートナーを含めるなど、LGBTQ当事者を顧客として想定した商品設計をしている地域金融機関は2割にとどまるーー。

そんな実情が、みずほリサーチ&テクノロジーズが行った「LGBTQに関する地域金融機関の取組状況」についての調査で明らかになった。

一方で「性的マイノリティに関する社会環境の課題解決に貢献したいか」という問いに対する前向きな回答は、9割を超えた。意識と実情の乖離を改善し、LGBTQ当事者が排除されない商品設計を進めることが求められている。

LGBTQ当事者への商品設計は2割

みずほリサーチ&テクノロジーズは2つの調査を行った。1つは、全国の地方銀行や信用金庫など地域金融機関を対象に、商品設計や採用に関して聞いたもの。2023年10月~24年1月に郵送で行い、72の金融機関から回答を得た(回収率20.4%)。もう1つは、地域金融機関で働く従業員を対象にした意識調査。インターネットで2023年10月に実施し、有効回答数は2472件となった。

性的マイノリティの人の存在を前提にした商品設計について、「行っている」と答えたのは20.8%。「行っていないが、検討している(既に話し合いや情報収集を始めている)」が2.8%、「行っていないが、検討する予定がある」が9.7%となった。

商品設計の具体的な内容について、「行っている」とした15の金融機関すべてが、住宅ローンなどのペア返済などで「配偶者」の定義に同性パートナーを含めていた。一方で、「定期預金や退職金にかかる『預金商品』の家族や配偶者への優遇」や「信託財産の受取人」として同性パートナーを認めている金融機関はなかった。

「地域金融機関として、性的マイノリティに関する社会環境の課題解決に貢献したいか」という問いに対し、「そう思う」は18.1%、「どちらかと言えばそう思う」は72.2%で、前向きな回答は90.3%となった。

16%が「アウティング」危険のある回答

従業員への調査では、今の職場に性的少数者がいるかという問いについて、「認知していないが、いる可能性を想定している」は25%にとどまり、「いないと思う」は70.4%となった。

職場の人から性的マイノリティであることを伝えられた時の対応として、「第三者に伝えるべきではない」と答えたのが26.4%、「本人からの明示的な許可がない限り伝えてはいけない」が57.4%だった。

一方で「第三者に伝えても問題ない」は9.5%、「本人から秘密にしてほしいと言われない限り第三者に伝えても問題ない」は6.7%。合わせて16.2%の人が、第三者に許可なく性的指向や性自認を伝える「アウティング」の危険性のある回答をしており、正しい知識や認識が不十分な状況が浮き彫りとなった。

また、職場での性的マイノリティに関する取組について、「実施している」金融機関は7つで9.7%、「特に実施していない」は90.3%だった。取組の内容は「相談窓口の設置」や「研修や勉強会」、「採用時の応募書類における性別欄の対応」と答えたのがそれぞれ4つずつとなった。

性的マイノリティであることを理由に職場で不快な思いをしたことや働きづらくなったことがきっかけで転職したことがある人は44.3%だった。

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