レジの接客、座ったままでよくないですか?専用の椅子が開発された背景は。各地の店舗で試験導入へ

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「その立ち仕事、座ってできるかも?」

スーパーでのレジ打ちなど立ちっぱなしですることが当たり前になっている仕事の負担を減らそうと、ある取り組みが始まりました。

バイト情報サイトのマイナビバイトが取り組む「座ってイイッスPROJECT」では、レジ係などが仕事中に腰掛けられる専用の椅子を開発しました。プロジェクトに賛同する企業に一部無料配布しています。 

「パート・アルバイトの接客中の立ち仕事」に関する調査をしたところ、雇用主とアルバイトどちらも、座りながらの接客について前向きに感じていることが分かりました。

「座ってイイッスPROJECT」

 X(旧Twitter)などでも頻繁に話題になっていた、レジをはじめとする接客業での立ちっぱなし問題。

座ったまま接客するのは失礼という考えから立ったまま仕事をすることが業界の慣習になっており、労働者にとっては腰痛や疲労の原因となっていました。

海外ではレジの手前に椅子を置いて接客する光景をよく見かけます。最近では、日本でも座って接客すれば良いのではないかという意見がSNSなどで多く見られるようになっていました。

この問題にマイナビバイトが着目し、「座ってイイッスPROJECT」をスタートさせました。

バイト中の使いやすさを重視した椅子を開発。各地で試験導入

マイナビバイトチェア(プロジェクト動画より)

プロジェクトでは、仕事のしやすさを重視してデザインした「マイナビバイトチェア」を独自に開発。

レジなどでスペースを取らず、業務中でも動きやすいサイズ感にし、お客さん側から見ても姿勢よく座れるデザインや構造を考慮しました。

折りたたみチェアや会議用チェアの製造販売を行うSANKEI(三重県鈴鹿市)と共同製作し、プロジェクトに賛同する企業に一部無償で配布します。

プロジェクト動画より、マイナビバイトチェアをレジで使っている様子。

3月28日から先行して試験導入を開始しています。ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスやABCマート、大垣書店などがプロジェクトの賛同企業になっていて、店舗での試験導入を進めていきます。

特設サイトでは「マイナビバイトチェア」の導入希望企業を新規でも募り、導入店舗を拡大していくといいます。

サイト内では、「座って働くこと」「アルバイトでのお悩みやお困り事」に関する働く人の意見も募集しています。

マイナビバイトは特設サイトで、座って働くという選択肢を取り入れることで「妊婦さんも、高齢者も、ハンディキャップがある方も、選べる仕事が増えるかもしれない」とし、プロジェクトは「働く人の可能性を広げていく」としています。

雇用主の73%「椅子に座って接客をしてもいい」調査で明らかに

プロジェクト動画より、マイナビバイトチェアをレジで使っている様子。

プロジェクトでは、アルバイトの雇用主300人と接客業務のあるパート・アルバイト300人の計600人を対象に「パート・アルバイトの立ち仕事」について、インターネットでの意識調査を実施。(調査期間:2024年3月11~14日)

調査では、座っての接客が許されているアルバイトは23%にとどまり、雇用主の19%が「接客中の立ち仕事からくる肉体的な要因」によるアルバイトの退職を経験していることが分かりました。

アルバイトの32%が、接客中に座れないことでネガティブな方面に「業務に影響が出ている」と回答。業務への影響として「集中力が落ちてミスが起きた」「笑顔で接客できなくなった」「会話が雑になった」などを挙げました。

アルバイトの65%が接客中に「座りたい」と感じ、「疲れている時」や「体調不良の時」「お客さんがいない時」に座りたくなるとしました。「メンタル不調の時」や「生理中」という回答もありました。

「パート・アルバイトの接客中の立ち仕事」に関する調査より。接客中に座りたくなる時の詳細

また、雇用主の73%が椅子に座って接客をしても「いいと思っている」と回答。そう考えている一方で、実施していない理由としては、「お客さんからの悪印象を防ぐため」(33%)や「なんとなく・特に理由はない」(25%)でした。

この調査では、54%のアルバイトが接客中に椅子に座ることで就労意欲が向上すると感じていることもみえてきました。

マイナビは調査結果を受け、「雇用確保の面からも、“立ちっぱなし”問題の解消が必要と言えます」と指摘しています。

雇用主とアルバイトの79%が、自分が客としてサービスを受けるときにお店の人が椅子に座っていても「問題ない・気にならない」と回答しました。

「空気を少しずつ変えていきたい」「座れるバイトが受け入れられる社会に」

マイナビバイトチェア

プロジェクトの開始に際し、担当者であるマイナビの鈴木里彩子さん(デジタルテクノロジー戦略本部)は、「座れるバイトが受け入れられる社会を実現させていきたい」とし、以下のようにコメントしています。

「まだ『座れるバイト』が世の中で普及していない現状、働き手に座る選択肢があったとしても、『お客様の目が気になる』『座っていることが何となく恥ずかしい』という意見もあると思います。その空気を少しずつ変えていきたいです

プロジェクトでは、動画も作成し、立ちっぱなし問題について問題提起しています。

(「座ってイイッスPROJECT」の動画)

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レジの接客、座ったままでよくないですか?専用の椅子が開発された背景は。各地の店舗で試験導入へ

Sumireko Tomita