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公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)が3月21日、日本企業の脱炭素化の取り組み状況を分析した結果を公表した。
「パリ協定※」が求める水準と整合する、科学に基づいた温室効果ガス削減目標(SBT : Science based target)を策定し、SBT認定を取得または2年以内の取得を約束(コミット)する日本企業は、2024年3月で1000社になった。
WWFジャパンは、「中小企業の取り組みも広がり、SBT認定は『普及期』に入った」とする一方で、「日本を代表するような大企業でもまだSBTを取得していない企業が残っている」と指摘した。
日本企業の脱炭素化の現状とは?
※世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べ1.5℃以内に抑えることを目指す世界目標
今回の調査は、国内株式市場を代表する日経平均構成銘柄の225社を対象に行われた。
WWFジャパンは225社のSBT認定の取得状況に加え、企業の環境問題への取り組みを評価する国際NGO「CDP」のスコアを調査、分析した。
その結果、225社のうち110社と約半数がSBTを取得またはコミットしていた。2022年と比べると、9%上昇しているという。
また、225社のうち153社(約68%)が、CDPスコアで高評価にあたるAまたはA−の評価を受けていた。
一方、裏を返せば日本を代表するような企業のうち、約半数がSBTを取得・コミットできていないことになる。CDPスコアの最低評価であるF(非開示)の企業は7社(約3.1%)あった。
業種セクターごとに見てみると、SBTを取得・コミットする企業が多かった業種セクターは「技術」だった。
技術セクターには武田薬品工業などの「医薬品」、ソニーグループなどの「電気機器」、日産自動車などの「自動車」、オリンパスなどの「精密機器」、ソフトバンクなどの「通信」が含まれ、61社中46社(約75%)がSBT取得・コミットしていた。
続いて多かったのが「資本財その他」のセクターで、35社中21社が、SBTを取得・コミットしていた。大和ハウス工業などの「建設」、日立建機などの「機械」、三菱地所などの「不動産」といったセクターが含まれる。
一方、SBT認定またはコミットする企業が半数に満たなかった業種セクターは、食品・水産や小売りなどの「消費(約44%)」、繊維や鉄鋼・金属、商社などの「素材(約36%)」、「運輸公共(約33%)」、「金融(約5%)」だった。
最もSBT認定・コミットが低かった「金融」セクターについてWWFジャパンは、「GFANZと呼ばれる金融機関の脱炭素実現のための国際連合の方法論をベースにして目標を設定する場合が多いことが考えられます」と分析した。
「一方で、GFANZの方法論とSBTi金融機関向けガイダンスは排他的ではなく相互補完的なものであるため、今後、金融機関もSBTの認定取得・コミットが期待されます」
また、「素材」の中でも「鉄鋼」セクターは4社中0社、「商社」セクターは7社中1社と取り組みの遅れが目立つ。WWFジャパンによると、これらのセクターは技術的課題から一般に脱炭素が難しいとされる一方、温室効果ガス排出量や環境インパクトが特に大きいセクターでもあるという。
「SBTiではセクターの事情を考慮したセクター別のガイダンスも整備していることから、こういった脱炭素が難しいセクターの企業についても今後は、SBT認定取得・コミットが期待されます」
「消費」のセクターでは帝人、花王、資生堂などSBT取得、またはコミットしている企業もある一方、CDPスコアでF評価だった7社のうち5社は、DeNAやネクソンなどの「消費」に含まれる「サービスセクター」だった。
WWFジャパンは「サービスセクターの企業は、必ずしも多排出な産業構造ではなく、これまで脱炭素へのプレッシャーが少なかったため、このような結果につながった可能性があります」と分析。
「気候変動に関する課題意識や感度が低いことを反映している可能性があります」と指摘した上で、「GHG排出量が比較的少ないにしても、社会全体でネットゼロを達成するには、こうした企業も含め、全ての企業が取り組みを進めなければいけません」と述べた。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
日本を代表する企業の中で、特に気候変動対策が遅れているのは?企業の脱炭素化「本気度」をWWFジャパンが分析
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