松本人志氏側、被害証言した女性の個人情報や写真の提示を求める。性加害報道をめぐる民事訴訟、争点や主張は?

お笑い芸人の松本人志氏から性加害を受けたという女性の証言を報じた週刊文春の記事をめぐり、松本氏が発行元の文藝春秋社に損害賠償などを求めた民事訴訟の第1回口頭弁論が3月28日午後、東京地裁で開かれた。

文藝春秋社側は請求棄却を求めた。

この裁判では、記事内容の公共・公益性や真実相当性(真実と信じる理由や根拠があるか)などが争われている。

週刊文春の報道などによると、松本氏側は、自身から性加害を受けたという証言を伝えた記事で精神的損害を受けたとして、5億5000万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めているという。

当該記事について、松本氏が複数の女性に対して、意思に反したり抵抗をしたりしていたにも関わらず、性行為に及んだと認識させるような内容だと指摘。

当該記事が「性行為を強要した」と示す内容だとして「芸能活動を行う社会的評価を低下させる」「原告の名誉を毀損する」などと訴え、「一方的な供述だけを取り上げて記事として掲載するという、極めて杜撰な取材活動に基づくもの」と主張しているという。

文藝春秋社側は答弁書で、当該記事は、原告が複数の女性に対して同意を得ることなく性行為をした事実を示したものだと説明。

一連の記事・報道について「社会に強い影響を与える地位にある原告が女性の尊厳や人権を無視する言動を行ったことを報じるものとして、公共の利害に関する事実に係るもの」と主張し、公益目的があると訴えている。

記事の真実性については「女性に複数回の取材を重ね、その証言の信用性について、相互の証言が裏付けとなるか、証言内容と当時の状況との齟齬がないか、証言の具体性があるか、関係者による証言による裏付けがあるかなどについて慎重に検討した」と説明。その上で原告に対する反対取材などを経て、真実と確信したと訴えている。

松本氏側、被害を証言した女性の身元情報を要求

文藝春秋社の代理人の喜田村洋一弁護士らは、口頭弁論後に記者会見を開いた。

喜多村弁護士は、松本氏側が裁判で、被害を訴えた女性2人の身元が明らかでないとして、当該記事に報じられた事実関係に対して認否をしなかったと説明。

「裁判所からも認否をしてくれと言われたのに、原告代理人が『AさんBさんが誰か分からないので認否や反論できない』と答えた」と述べた。

喜多村弁護士によると、松本氏側は、被害を訴えた2人の女性の氏名や住所、生年月日、携帯電話の番号、LINEのアカウントといった情報の提示や、原告の記憶喚起のために容姿や容貌が分かる写真の提出を求めているという。

こうした要求について、喜多村弁護士は次のような見解を示した。

「被害女性に対して身元特定を匂わす嫌がらせがあったり、言っていることは『虚言だ』『金目当てではないか』(と言われたりしている)。身元がわかることで、今ですらこんなに嫌がらせされているわけだから、こういうこと(被害者の個人情報の提示)を求めるのはおかしい」

ハフポスト日本版は、松本氏側の代理人の田代政弘弁護士にコメントを求めている。

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Rio Hamada