今年は全国的に春の訪れが早まっており、広く本格的な花粉症シーズンを迎えています。
ウェザーニュースが花粉に関するアンケート調査を実施したところ、関東・東海・九州などで「けっこう感じる」と回答した人の割合が先週から大幅に増加。すでに、関東では56%、東海では55%と過半数を占めており、多くの人が花粉症に苦しんでいるようです。
野村皮膚科医院(横浜市神奈川区)院長の野村有子先生は、「顔などの皮膚にも気をつけて欲しい」とアドバイスします。
春の肌荒れのなかにはスギ花粉などによる花粉皮膚炎の可能性があるというのです。しかも、くしゃみや目のかゆみのような症状がない人でも、花粉皮膚炎を発症することはあるといいます。詳しく教えていただきましょう。
暖かな日差しのなかでのお出かけも楽しみですが、春は肌のコンディションが変わりやすく、無意識に触ってしまって化粧が崩れやすくなるのが困るという人も多いようです。
「春先は肌のトラブルで受診する人が多くなります。それは寒暖差のせいで皮脂の分泌が乱れる、アトピー性皮膚炎が悪化、春風で巻き上げられたホコリや黄砂などが刺激となっているなどがあります。そして、注意したいのが花粉皮膚炎です」(野村先生)
花粉症といえば、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどが代表的な症状ですが、皮膚に出ることもあるのでしょうか。
「スギやヒノキなどの花粉で起きる花粉症には、鼻や目の症状だけでなく皮膚に花粉が付着することで刺激となってかゆみや炎症、湿疹などが起きることがあるのです。
目や口の周り、頬など皮膚の薄いところ、額や首など露出している部分、そして乾燥肌や肌荒れのある部分で起きやすいのです。
一般的な花粉症は、口や目から入った花粉に免疫システムが反応してアレルギー反応が起こることによるものですが、花粉皮膚炎は花粉が皮膚に触れることで症状が起きます。
くしゃみや鼻づまり、目のかゆみのような花粉症の症状がない人でも、花粉皮膚炎を起こすことがあります。かゆみや炎症が生じると、かゆくて掻いてしまい、さらに炎症が悪化することも少なくありません。顔や首など露出している部分に何らかの症状が出るようなら、気をつけてみてください」(野村先生)
花粉皮膚炎を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。
「花粉がなるべく皮膚につかないようにするのが基本です。帽子やメガネ、マスクなどでガードしたり、洗濯物の外干しを避けるなどの花粉対策は、一般的な花粉症と同じです。
さらに、皮膚の状態も大切です。健康な皮膚は、キメが整って潤いが保たれ、ホコリなど外部の刺激から体を守っています。
しかし、肌荒れした皮膚では表皮の一番外側にある角質細胞が乱れ、バリア機能が低下してしまいます。特に今の時期は冬の乾燥や寒さによるダメージで、肌のコンディションが悪くなっていることが多いのです。化粧水や乳液、クリームでの保湿など、スキンケアを丁寧に行いましょう。
メイクも肌を守る助けとなります。ベースメイクは肌の保湿にもなり、すっぴんより花粉や紫外線などの外部刺激から守れます。ただし、肌に優しいタイプを選び、ギュウギュウ押しこんだりこすらないよう優しく塗りましょう。
アイメイクが必要な場合は、崩れにくいウォータープルーフタイプを選ぶといいでしょう。化粧崩れをごまかそうと指でこすったり、化粧直しを頻繁に行うのは皮膚への刺激となります。
帰宅したら、すぐに洗顔して花粉を落とすようにします。こすらないようメイク落としは十分な量を使いましょう。せっけんや洗顔料はクリーミーに泡立て、顔をなでるように優しく洗います。すすぎは水をさっとかけるようにして、顔全体を泡がなくなるまで10回程度流します。洗顔後は、すみやかに保湿します」(野村先生)
野村先生は、自分の皮膚の状態をよく見ることが大切だと強調します。
「春は、季節の変わり目であることに加え、仕事や家庭環境の変化やストレスなどの影響もあり、肌のコンディションがゆらぎがちです。いつも使っている化粧品でも、ピリピリしみたり、赤みやかゆみが出るようなら、いったん使用を中止して、刺激の少ない化粧品に変えてみましょう。
花粉対策や正しいスキンケアを行っていても改善が見られない、あるいは炎症やかゆみが強くなるときは、あまり我慢せずに皮膚科を受診することをおすすめします」(野村先生)
花粉症は早めの対策が効果的だといいます。肌を守るためのスキンケアを日頃から心がけましょう。
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