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「男の生理」「睾丸周期」ーー。こんな言葉をインターネット上で目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
実際にネットを検索すると、SNS上の個人コメントだけでなく、「男の生理は性欲も左右する」「睾丸のハリや重さで生理中かわかる」などとする、医師への取材をした形跡のみられない記事なども複数みられます。
実際にそのようなものは存在するのか、男性不妊症と性機能を専門とする小堀善友医師(プライべートケアクリニック 東京院 院長)に取材しました。
(初出:BuzzFeed Japan News 2020年2月28日)
小堀さんは「男性には周期的に骨盤が開閉し、それが原因になってメンタル面で不調が起こるとか、体調が悪化することなどはありません」と話します。
どういうことなのでしょうか。詳しく聞いてみましょう。
女性の生理は、排卵をコントロールするためのホルモン周期によって引き起こされます。小堀さんは「男性にもホルモンの周期があることがわかっています」と話します。
小堀さんによると、女性の排卵や生理出血は「下垂体ホルモン」が周期的に増減することによって、「エストロゲン」や「プロゲステロン」といった女性ホルモンが大きく変動するために起こります。
「それらの女性ホルモンは肌ツヤや感情にも影響を与えています。『生理前だからイライラする』とか、『化粧のノリが悪い』ということは、ホルモンの周期的な変化が原因として引き起こされているのです」(小堀さん)
女性の排卵を促す下垂体ホルモンは、男性の体では、精巣で「テストステロン」という男性ホルモンを作り出したり、精子を作り出すための命令として働きます。
しかし、男性のホルモン周期については小堀さんはこう説明します。
「女性のように大きな周期があるわけではありません。脳下垂体を刺激するホルモンは90分単位の分泌周期があり、それによってテストステロンも15分の分泌周期があるとされています」
「テストステロンは日内変動があり、早朝が一番高く、夕方になると減少してきます。女性のように1ヶ月をかけた生理周期というよりは、1日の中でのわずかな変動でしかありません」
「女性は1カ月に1つ排卵が起こるのに対し、男性は1日に1億もの精子がどんどん生み出されます」
「そのため、74日に1度の周期があるわけではなく『睾丸周期』というものがあるわけではありません」
ネット上にあがっている「男の生理」に関する記事には、「骨盤の開閉が周期的にある」という情報もありますが、小堀さんは男性の周期的な骨盤の開閉についても否定します。
また、男の生理の見分け方として「睾丸の張りや重さで『睾丸周期』が分かる」といった記述がある記事もありました。
それらに対しても医学的根拠はなく、こう呼びかけます。
「睾丸が張ってくるようなことはありません。逆に、睾丸が腫れてきたら、何らかの病気が考えられますので、泌尿器科の専門医に相談してみてください」
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
ネットでよくみる「男の生理」って本当にあるの?医師に聞いてみた