ウェザーニュースでは2月15〜16日に花粉の飛散状況に関するアンケート調査を実施しました。
結果を見ると、「けっこう感じる」と回答した人が東北〜九州にかけての全域で1割以上となるなど、全国的に花粉を感じる人が先週より増えていることがわかりました。
特に、関東ではすでに25%の人が「けっこう感じる」と回答しており、「ちょっと感じる」も含めると、9割近くの人が花粉を感じているようです。
一方で、1日の寒暖差の大きい今は、春風邪をひきやすい時季でもあります。くしゃみや鼻水などの鼻症状から始まる花粉症は、風邪と区別がつかないことも。
2つの違いについて、大阪はびきの医療センター耳鼻咽喉・頭頸部外科医務局長・主任部長の川島佳代子先生に教えていただきましょう。
「花粉症とは、鼻や口などから花粉が体内に入り、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどのアレルギー反応を起こす病気です。一方で風邪は、ウイルスなどの感染によって起こり、薬もセルフケアも異なります。
花粉症の症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりが3大症状とされていますが、目のかゆみや喉のかゆみ、咳なども辛いもの。さらに重症化すると頭痛を起こしたり、睡眠の質の低下、仕事や勉学の効率が低下するなど日々の生活に悪影響を及ぼします。
花粉症は、花粉を体内に入れないようすることが、重症化を防ぐのに有効です」(川島先生)
花粉症と風邪の初期症状は似ているものですが、違いもあるといいます。
「比較的わかりやすいのは、鼻水の状態です。花粉症では、サラサラした鼻水が出てきます。水っぽく垂れやすい状態です。
風邪の鼻水は、ごく初期は透明でサラサラしていることもありますが、ネバネバして黄色っぽかったり、緑色など色がついていることも多く、臭いがある場合もあります。また、風邪の進行とともに鼻水の状態や色が変わっていきます。
鼻以外の症状は、花粉症では目のかゆみや充血、痰の絡まない乾いた咳、喉のかゆみやいがらっぽさなどがあります。
一方の風邪では、喉の痛みや体のだるさ、発熱、頭痛などの症状が進行とともに現れます。
症状の出方や期間にも違いがあります。花粉症の症状の強さは、花粉の飛散量の違いから1日のなかで変化があります。雨など天気の影響も受けます。
また、症状が出る期間にも違いがあり、花粉症は花粉の飛散する長期間続くのに対し、風邪は数日でよくなります」(川島先生)
他にも気になる感染症があります。
「インフルエンザや新型コロナウイルス感染症です。インフルエンザは、比較的急速に38度以上の発熱があり、咳や喉の痛み、頭痛、筋肉痛、全身のだるさなども伴います。新型コロナウイルス感染症についても引き続き油断はできませんが、初期症状は頭痛や発熱、咳などで、花粉症や風邪と区別するのは難しいといえます」(川島先生)
「前述したように、アレルギー反応で起こる花粉症と、ウイルスなどの感染で起こる風邪は異なる病気です。自覚症状が似ていても薬は異なります。
例えば鼻症状に効能がある風邪薬を服用した場合、花粉症の鼻症状にもある程度の効果はあります。しかし、風邪薬は長期にわたって服用するものではありません。長引く場合は花粉症の可能性を考え、病院を受診した方がいいでしょう。
昨年まで大丈夫でも、急に花粉症を発症することもあります。これは、花粉が体内に侵入したときに免疫システムによって作られるIgE抗体が、少しずつ体内に蓄積していて、今年発症するレベルに達してしまったということです。
風邪かなと迷ったときには、病院を受診して原因とつきとめ、正しい治療・対策を取るようにしてください」(川島先生)
これから本格的な花粉症シーズンを迎えます。体調の変化に注意して、少しでも健やかに過ごせるようにしましょう。
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