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2003年に映画『ラスト サムライ』出演を機に、アメリカ・ハリウッドに活動拠点を移しておよそ20年。俳優の真田広之さんがハリウッド初主演かつプロデューサーを務めたドラマ『SHOGUN 将軍』がついに完成し、日本でも配信がスタートする。
2月19日、真田さんは本作のキャストやプロデューサーらとともに都内でのジャパンプレミアに参加。「感無量」だとして、ハリウッドでどうように日本のキャストやスタッフとともに、戦国時代を舞台にしたドラマ作りが実現したのか、舞台裏を語った。
時代劇を中心にキャリアを築き、アメリカに渡ってからも『ウルヴァリン:SAMURAI』『モータル・コンバット』『ブレット・トレイン』『ジョン・ウィック』などでアクションスターとして功績を残してきた真田さんにとって、『SHOGUN 将軍』は記念碑的な作品と言える。
ジェームズ・クラベルさんの小説『将軍』が原作で、日本でキリスト教が普及し始めた1600年前後の戦国から江戸の世にいたる時代が舞台。徳川家康や石田三成、細川ガラシャなどの実在の人物にインスパイアされ、フィクションも織り交ぜられた壮大なストーリーだ。1980年に一度アメリカでドラマ化され、三船敏郎さんらが出演したことでも知られる。
作品の構想は約8年前からスタートしたという。ジャパンプレミアで真田さんは、「長い旅路の果てにようやく、観客のみなさん、日本のみなさんにお披露目できることを嬉しく思う」と感慨深げにコメントした。
真田さんはこれまでもインタビューなどで繰り返し、海外映画で描かれる日本の誤った表現を改善するために、現地のスタッフと積極的に意見を交わしていると発信してきた。実際に、アドバイザー的な立場を務めた作品もある。
『SHOGUN 将軍』でメインで使われているのは日本語で、ハリウッドでの前例は少ない。『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』『パチンコ』などのアンナ・サワイさん、『Giri / Haji』の平岳大さん、そして、西岡徳馬さんや浅野忠信さん、二階堂ふみさんら、国内外で活躍する俳優が、日本のパートを固めた。また、ストーリー、美術や衣装などでも時代考証を重んじ、時代劇の経験が豊富なスタッフが揃い、プロデューサーや脚本などにも日本にルーツのあるスタッフが複数人参加した。
ショーランナーのジャスティン・マークスさんは、本作について「この物語は“イースト・ミーツ・ウエスト”です。それは制作そのものにも言えることです」と説明。真田さんも、「東西(東洋と西洋)の壁を乗り越えて、一丸となって作ったことこそが、世界へのメッセージです。ストーリーと制作過程、この両面で世界にアピールをして、見ていただいた方に何か感じ取っていただけたら」と述べた。
作品で、キリシタンとして通詞を担う「鞠子(まりこ)」という重要な役を演じたサワイさんは、これまでも多くのハリウッド作品に出演してきた経験から、こう話した。
「たくさんの西洋のプロジェクトに携わってきましたが、日本人の女性の描かれ方に関して、ここがちょっと違うなと思う作品がたくさんありました。今回この『SHOGUN 将軍』で、ジャスティン(ショーランナーのジャスティン・マークスさん)が日本のクルーを引き連れて、忠実に作りたいという思いを聞いた時に、日本の女性にもっと深みのある、中身のあるストーリーを与えてくださるんだろうと思いました。私も鞠子の葛藤を、言葉にしなくても映るように演じました」
真田さんと多くの時代劇で共演してきた西岡さんも「五十数年、俳優をやってますけれど、こんなに素晴らしい日本の時代劇を描いた外国の作品は、今までないと明言できます」と太鼓判を押した。
オーディションを受け参加が決まったという二階堂さんも「真田さんがこれまで積み上げてきたものがこの作品に詰まってるのだと、現場からも完成した作品からも感じました」と述べた。
イギリスから戦国時代の日本に渡ってくるジョン・ブラックソーン(按針)役のコズモ・ジャーヴィスさんは、国や時代が異なる本作を演じるにあたり、「挑戦や苦労があったが、それが物語に寄り添うことに役に立った」とコメント。真田さんとの共演も「聞きたいことがあれば、いつもそこにいてくれた。仕事に対する姿勢が、見習いたくなるものでした」と称賛した。
真田さん演じる吉井虎永の強敵となる石堂和成役の平さんも、プロデューサーとしての真田さんについて、「自分の出演のないシーン、出演のない日も、毎日現場にいらっしゃる。エキストラの衣装やヘアを直したりして、頭の下がる思いでした」と振り返った。
トークイベント中、何度も共演者から主演兼プロデューサーとしての熱心な仕事ぶりを絶賛されると、「やりたがりなものですから」と笑顔を見せた真田さん。「感無量で何から喋れば…」と言葉を詰まらせながらも、徳川家康にインスパイアされた虎永役を引き受けた理由については、こう説明した。
「なぜ今この役を演じるのか考えた時、モデルである家康の、戦乱の世を終わらせ、長きにわたる平和な時代を築いたということがありました。この時代だからこそ求められているヒーロー像なのではないか、という思いで飛び込みました」
プロデューサーとしては、「勇気を持って日本から海外の作品に飛び込んでいただいたキャスト、そして時代劇のスペシャリストのクルーたちの才能を最大限引き出す」ことを意識していたという。
ハリウッド初主演にして初のプロューサー。そしてハリウッドで数少ない、日本のキャストと制作者とともに、日本を描いた作品。その大役を担った真田さんは、「常に日々楽しくてですね。現場を離れるのが寂しかった」と名残惜しさも口にし、特別な経験になったことを明かした。
トークイベント後には、本作の1話・2話も上映された。五大老、そしてその時代にキリスト教を広めたカトリックやプロテスタントなどの覇権争いや人間ドラマが、息をのむような緊迫感と見応えのある映像で描かれ、上映後には大きな拍手が沸き起こった。
『SHOGUN 将軍』(全10話)は2月27日からディズニープラスで独占配信が始まる。
(取材・文=若田悠希/ハフポスト日本版)
▼作品情報
『SHOGUN 将軍』
2月27日(火)からディズニープラスの「スター」で独占配信開始
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「日本の女性に深みのあるストーリーを」真田広之さん主演、戦国時代を描いた米ドラマ「SHOGUN 将軍」が実現するまで