まだまだ朝晩などは冷え込む時期が続き、香り豊かな温かいコーヒーが恋しくなります。
来客などの際や保温機能付きのマイボトルで会社などに持って行くなど、多めに淹(い)れておきたい機会があるかもしれません。
そんなときのために、ホットコーヒーをハンドドリップでまとめて淹れても、1杯分のときと同じようにおいしくできあがる“バイパス”ドリップの作り方を、UCCコーヒーアカデミーに教えて頂きました。
ホットコーヒーをまとめてハンドドリップで淹れるとき、たとえば4人分なら1人分×4倍の粉と4倍のお湯で、大きなペーパー・ドリッパーを使えば大丈夫なのでしょうか。
「まとめて4人分のホットコーヒーをおいしく淹れるには、単純に1杯分×4倍のイメージとは違った淹れ方のレシピを用います。“バイパス”ドリップという方法で、お湯をコーヒー粉に通さず、抽出液に加える方法です」(UCC)
具体的にどのような作り方になるのでしょうか。
「通常ハンドドリップで1杯分を淹れるときは、コーヒーの粉量は12g、湯量は160mlで抽出します。粉は中細挽き、湯温は92℃です。これを単純に4倍すると、粉量は48g、湯量は640mlとなります。
蒸らしに使う湯量は粉量の2倍が適量ですので、約96ml。残る544mlのお湯を3回ぐらいに分け入れて抽出します。
これに対して“バイパス”ドリップの方法では、粉量は40g、湯量は400mlとします。蒸らしに使う湯量は、同じく粉の倍量程度にあたる約80mlを目安としてください。
蒸らしを終えたら残り約320mlの湯を、同じく3回ぐらいに分けて注いでいきます。注ぎ終えたら湯が落ちるまで待てば、抽出は終了です」(UCC)
“バイパス”ドリップの湯量・粉量は1杯分×4倍に比べて少なめなのですね。“バイパス”ドリップの湯量・粉量は1杯分×4倍に比べて少なめなのですね。
「“バイパス”ドリップのポイントはここからです。
抽出を終えたコーヒーに、230mlのお湯を直接入れていきます。これを“バイパス”といいます。これでまとめておいしく淹れたホットコーヒーは完成です。“抽出の前半部分を使ってお湯で割る方法”になります」(UCC)
抽出の前半部分を使うという“バイパス”ドリップと、単純な1杯分×4倍の淹れ方では、味わいにどんな違いが生じるのでしょうか。
「実際に1杯分、1杯分×4倍、“バイパス”ドリップで淹れたそれぞれのコーヒーを、実際に飲んで比較してみると、違いは歴然です。
1杯分×4倍の粉量・湯量で淹れると、1杯分よりもちょっと濃く苦い感じがします。後味がすごく渋い感じも、なんとなくしてしまうのです」(UCC)
1杯分×4倍だと苦く、渋くなるのはなぜなのでしょうか。
「粉量と湯量の比率は1杯分の適量と同じですが、抽出している時間が圧倒的に長くなるからです。通常の抽出時間は1杯分が2分程度、1杯分×4倍が4分程度です。これに対して“バイパス”ドリップの場合は、3分程度となります。
実は抽出の前半と後半では、コーヒーの味わいがまるで変わってしまうのです。前半は苦味と酸味、香りのバランスがよくてまろやかな口当たりなのですが、後半になるにつれていやな苦味と渋みが目立ってきます。
そのため1杯分×4倍の比率で淹れると、濃さに加えて抽出後半特有の苦味、渋みがしっかり出てしまう味になってしまうのです」(UCC)
“バイパス”ドリップで淹れたコーヒーの味はいかがでしょうか。
「1杯分×4倍で淹れたものと違って、1杯分で淹れたものに近い味わいです。よりクリアでマイルドな味わいに仕上がっていて、飲みやすくなりました。
まとめて淹れた時にコーヒーの苦味や渋みが気になる方には、“バイパス”ドリップがオススメです」(UCC)
真冬の寒さで冷え切った体と、心も温めてくれるホットコーヒーを、まとめて淹れる時には“バイパス”ドリップでぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
知ってる?何杯ものコーヒーを一気にまとめて美味しく淹れる方法。”あの方法”で苦みや渋味がマイルドに