「犯罪者は外国人ばかり。日本人は、たったの3%。外国人への職質は当たり前だ!」という投稿が拡散している。投稿には、殺人や傷害の罪で刑務所に収容されているのは、「中国人が33%」「朝鮮韓国人が32%」などと記載された画像が付けられている。
しかし、この投稿や画像に書かれていることは誤りだ。画像は過去にも拡散したことがあり、ファクトチェック機関により「誤り」と判定されている。
この投稿は1月25日、あるXユーザーによって発信され、26日午後3時時点で7000を超える「いいね」が付くなど拡散している。
投稿では、人種差別的な職務質問を巡り、外国にルーツがある3人が国などを相手取り近く提訴するというニュース記事に言及した別のアカウントの投稿を引用する形で、「犯罪者は外国人ばかり。日本人は、たったの3%。外国人への職質は当たり前だ!」と記している。
また、画像には次のように書かれている。
「『殺人・傷害』で収監されている日本刑務所の囚人 特亜が65%!
中国人 33%
朝鮮韓国人 32%
帰化人 21%
他外国人 11%
日本人 3%」
「移民増加により今後更に治安悪化!」
「加害者は移民!被害者は日本人」
この投稿には、「外国人の凶悪さ」「ヤバすぎる」といったコメントが見られる一方、「どこのデータよこれ」「デマですよ」と指摘する声もある。
公表されている統計を基に、投稿や画像の数値を検証する。
法務省が公開している「矯正統計統計表」によると、殺人罪と傷害罪の刑が確定し、2022年に刑務所や拘置所などに入所した「新受刑者」(一年間で新たに入所した人など)は国籍別で以下の通りだった(表38)。
総数:616人
日本:576人(93.50%)
韓国・朝鮮:19人(3.08%)
中国:6人(0.97%)
2022年より前のデータを見ると、新たに入所した人のうち、韓国・朝鮮籍と中国籍の受刑者が占める割合は、2006年から現在まで、それぞれ1〜2%と1%未満〜1%で推移している。いずれの年も日本国籍が9割以上を占めていた。
新しく入所した受刑者だけではなく、収容されている人全てに占める割合を国籍別で見てみると、2022年の年末時点で、殺人罪と傷害罪の受刑者数は計3167人(表4)。
一方、同年末に入所していた韓国・朝鮮籍と中国籍の受刑者はそれぞれ564人と426人(表8)。仮にこの全員が殺人罪または傷害罪の受刑者だとしても、全体に占める割合はそれぞれ17.8%と13.5%であり、画像に記された数字をいずれも大きく下回る。
以上から、「殺人・傷害罪で収監されている人のうち、中国人が33%、韓国・朝鮮人が32%を占め、日本人が3%」などとする画像の情報は誤りだ。
なお、同様の画像は過去にも拡散しており、日本ファクトチェックセンター(JFC)も2022年10月12日の記事で「誤り」と判定している。
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殺人・傷害罪の受刑者、「中国人」「韓国・朝鮮人」が各3割超は誤り。「日本人は3%」との画像が拡散