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クリスマスから正月へと続く年末年始は、忘年会や新年会、実家への帰省など、だれかと一緒に過ごす機会が多くなる。
その分、一人で過ごす時間が気になるもの。「寂しい」と思うときもあれば、人付き合いにちょっと疲れて「たまには一人がいい」と思うときもあるだろう。
博報堂生活総合研究所は、首都圏の25〜39歳を対象に「ひとり意識・行動調査」を1993年に実施。30年がたった2023年にも同様の調査を実施し、結果を比べた。
その結果、「ひとり」を志向する生活者が大幅に増加し、その意識と行動に大きな変化が起きていることが発見されたという。
どういうことなのか。12月に公表された調査結果をみてみた。
まずは「ひとりでいる方が好き」と「みんなでいる方が好き」を比べ、「あなたの考えに近いのはどちらですか」と尋ねた質問。1993年は「みんな」派が過半数の56.2%を占めていたが、2023年には逆転。「ひとり」派が過半数の56.3%を占めたという。
「ひとり」派は全体では43.5%から56.3%へと12.8ポイント増加した。これを、20代後半、30代前半、30代後半の3世代に分けてみてみると、「20代後半」は39.3%から53.3%へと14.0ポイント増、「30代前半」は44.0%から59.5%へと15.5ポイント増となっており、比較的若い世代で「ひとり」派が増えていた。
「ひとり」に関する意識については、生活に関する事柄について、「あなたの考えに近い」かどうかを「はい」か「いいえ」で答えてもらった。
主な項目の「はい」の割合を見ると、1993年から2023年で次のような変化があった。
・意識してひとりの時間を作っている 27.3% → 49.1% (21.8ポイント増)
・ひとりで没頭できる趣味を持っている 58.1% → 74.8% (16.7ポイント増)
・趣味・遊びはひとりでやる方が好きだ 31.9% → 44.2% (12.3ポイント増)
・ひとりで食事をするのはさびしい 64.1% → 34.9% (29.2ポイント減)
ひとりの時間を作る人が増え、ひとりで食事をすることも特段「さびしい」とは思わない人が大きく増えているという結果になった。
行動については、喫茶店やファミリーレストランなどの場所を挙げて「ひとりで行きたい」と思うか「ひとりで行くのはいやだ」と思うかを尋ねた。その結果、大半の場所で「ひとりで行きたい」派が増えていた。
なかでも「喫茶店・カフェ」は20.0%から53.4%へ、「ファストフード店」は20.9%から46.7%へ、「牛丼屋」は27.2%から52.6%に増加した。
また、いくつかの行動について「ひとりでしたいか」と尋ねたところ、大半の項目で「ひとりでしたい」派が増加していた。「会社の昼休み」は43.0%から75.9%に急増。「平日、家で朝食をとること」も24.8%から57.1%へと2倍以上に増えた。
「喫茶店・カフェにひとりでいてつらくない時間(待ち合わせ以外)」を答えてもらった質問もある。1993年調査では、120分以上と答えた人は7.2%にとどまり、平均は49分だった。これが2023年になると、120分以上と答えた人は42.7%にも及び、平均も114分と大幅に伸びた。
この変化をどのように受け止めるかは人それぞれだろう。
「ひとり」と言えばこれまでは、「孤独」「さびしい」「ぼっち」など、ネガティブな文脈で語られることが多かった。
実際、日本社会の少子高齢化が進む中で、子どもの「孤食」や、一人暮らしの高齢者の「孤独死」は、深刻な社会問題として議論されている。
その一方で、リュック一つ、身一つで海外旅行に出かけるバックパッカーは昔からめずらしくない。キャンプ場でひとり、星を見ながら夜を過ごす「ぼっちキャンプ」も最近の流行だ。
調査を実施した博報堂生活総合研究所は、ポジティブな側面に着目した。調査結果については「生活者をじっくりみつめると、人と一緒では体験できない『ひとり』ならではの価値を存分に楽しみたいという熱い欲求が、社会全体に広がっていた」とコメントしている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
みんなより「一人が好き」多数派に。意識調査、30年で逆転