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長い歴史の中で、森林保護より木材生産を優先してきたアメリカ農務省森林局が、原生林保護に向けた重要な一歩を踏み出した。
農務省は12月19日、炭素を豊富に蓄積する原生林(樹齢150年以上で、人間活動による影響がほとんどない森林)を保護・管理するための修正案を発表した。128ある国有林と国有草原の土地管理計画で、原生林を保護する内容になっている。
原生林などの古い樹木は、重要な自然気候ソリューション(NCS:自然の力を利用した気候変動対策)の一つとして、気候変動対策に欠かせない。
農務省は「健康で気候変動に強い原生林は、大量の炭素を蓄え、生物多様性を増やし、山火事のリスクを軽減する」と声明で説明している。
トム・ヴィルサック農務長官も「原生林は私たちの生態系の重要な一部であり、森林計画の修正案はこうした国の宝の保護に向けた重要な一歩だ」と声明でコメントした。
修正案が承認されれば、森林局の管理下にある約2500万エーカーの原生林で、商業目的の伐採が制限されることになる。
その一方で、今回の修正案には、成熟林(原生林の段階に達していない樹齢数十年の森林)の伐採制限は含まれていない。
樹木保護を訴えてきた環境保護専門家からは、修正案の歓迎と同時に、不十分だという声も上がっている。
NPO「生物多様性センター」のランディ・スピバック氏は、「原生林を伐採から守るのは重要な第一歩ですが、気候変動に対処するためには成熟林の保護も必要です」と声明で述べ、さらに踏み込んだ政策を求めた。
クリントン政権で森林局副長官を務めたジム・ファーニッシュ氏は、「この小さな前進は何もないよりはましですが、気候変動対策に必要な大きな躍進からはほど遠いといえます。森林局は原生林のほとんどを伐採・解体し、悲劇的な結果をもたらしました。残った森林の保護だけでなく、成熟林を成長させて何百万エーカーもの土地を復元させる義務があります」とハフポストUS版へのメールで述べた。
また、次期大統領選によって政権が変われば、保護に向けた取り組みが台無しになるという懸念の声も上がっている。
修正案の永続性について、ヴィルサック農務長官は「重要な前進をした今、後戻りすることは国にとって重大な誤りだ」とAP通信にコメントしている。
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆・編集しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
米政府が「原生林」を保護へ。気候変動対策に欠かせない大きな一歩