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代表取締役や役員らが参加する「気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)」の視察団に、一人の若者の姿があった。
ビジネスの視点から「脱炭素社会」への移行に取り組む企業グループ「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」がCOPに派遣する視察団は、主に加盟企業の意思決定層が対象だ。今回のCOP28でも代表取締役や役員らが名を連ねた。
そんな中、若者枠として初めて視察団に加わったのが、「顔が見える電力」をモットーに再エネ事業などを展開するUPDATERの厚田梨帆さんだ。
「企業の一員」の若者が、COP28で見た景色とは?
気候変動の「COP」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持っているだろうか?厚田さんが抱いていたのは、「環境活動家の若者たちが気候変動の『危機感』を訴えて、偉い人が『そうかそうか』と意見を聞く場」というイメージだったそうだ。
しかし、実際に現場に行ってみると、気候変動への危機感は「当たり前」で、気候変動をどう解決するか、クライメイトテック企業やスタートアップがこぞって解決策を提案していたという。
「COPは危機感を発信する場だと思っていましたが、経済の場になっていました。産業革命と同じぐらいの経済が動こうとしているんだなと強く感じました」
厚田さんは自身が「一会社員」である一方で、実は気候変動において「企業」にあまり良い印象を抱いていなかったという。
しかし、JCLPの視察団としてCOP28の会場に行くと、見えていた景色が変わったそうだ。
「行く前は、何か理由をつけて脱炭素に踏み切らない企業が多いと思っていました。しかしCOP28の現場では、日本を代表する企業の人たちが一生懸命になって、どうすれば自分の企業だけでなく、日本全体で気候変動対策を進められるのかを議論していたんです」
脱炭素社会を目指す企業が集まるJCLPだからこその光景かもしれないが、そんな日本の意思決定層の姿を見て、「希望」を感じたと話す厚田さん。
逆になぜ気候変動対策が十分な速度で進まないのか。「太陽光や風力発電の優先度が高くない日本の政策が壁になっていると感じた」と厚田さんは指摘した。
もう一つ衝撃的だったのは、JCLPのプログラムの登壇者に女性が多かったことだという。
「エネルギーの業界は、女性が少ないものだと思っていました。しかし世界を見てみると、それは当たり前じゃなかった。海外を見れば、大企業や大きなNGOでも、女性が社長や重要な役職を担っていました。これは日本の課題だなと思います」
また、ビジネス界隈で注目されていたテーマの一つが「グリーンウォッシュ」だったそうだ。世界各地で気候変動の責任を企業や政府に問う訴訟が行われているが、「日本でもこれから同じような裁判が行われる可能性があると思います」と指摘する。
「とはいえ、訴訟を恐れて企業が発信を控えてしまっては本末転倒です。一消費者として、企業の発信がグリーンウォッシュになっていないかきちんと見定める目を養いつつ、企業が良いことしていたらきちんと応援する社会を目指していきたいです」
今後は、気候変動対策をどう進めていけばいいか分からないような企業も含めて、「若手同士で繋がっていきたい」と厚田さん。
企業の枠を超えてつながり、勉強会などを通して気候変動に対する課題意識を自分の中に落とし込み、自らの言葉で自社の意思決定層に伝えていけたら、と意気込んだ。
「企業は、前に進むためのソリューション(解決策)をそれぞれ持っているからこそ、可能性があると思います。自分の会社の若手の言葉なら、経営層の方々に『自分ごと』として聞いてもらえるきっかけになるのではと期待しています」
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「会社員」だけど、「企業」に良い印象がなかった26歳。トップ企業の社長や役員と一緒にCOP28に行って見えた景色とは