外務省が英紙「デイリー・メール」に申し入れ。函館イワシ大量死と処理水放出を関連づけるような報道

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北海道函館市の海岸に大量のイワシなどが打ち上げられ、SNSで福島第一原発の処理水の海洋放出が原因とする投稿が相次ぎ、海外メディアも2つの出来事を関連付けて報じた問題で、外務省は12月13日、一部メディアに申し入れをしたことを記者会見で明らかにした。

外務省が大使館を通じて申し入れをしたのは、英大衆紙「デイリー・メール」。処理水と函館での出来事を関連づけるように報じていた。

この問題を巡っては、ハフポスト日本版が12月11日、「福島の差別や偏見を助長する」と他社に先駆けて報道。その後、国内の大手メディアや北海道の地元紙なども続き、SNS上でも根拠のない投稿や報道に批判の声が上がっていた。

小林外務報道官が会見で説明

小林麻紀外務報道官は12月13日に開かれた記者会見で、「一部のメディアがイワシ類の漂着と処理水の海洋放出を関連があるかのように報じている。水産庁は『イワシ類の漂着は決して珍しい現象ではなく、処理水の海洋放出を理由付ける根拠はない』と説明している」と語った。

その上で、「そもそも処理水の海洋放出後、水産庁では水産物の、環境省では海水のモニタリングを行っているが、一切異常な数字は検出されておらず、放出が安全に行われていることが科学的に確認されている」と述べた。

そして、記者から日本政府の立場について問われると、「海外メディアには既に在外公館から申し入れを行った」とし、「科学的根拠に基づかず報道を行っていることは不適切で、政府としてもきちんと説明して対処していきたい」と話した。

小林麻紀・外務報道官(外務省提供・時事)

詳しい経緯は?

英大衆紙「デイリー・メール」のオンラインサイト「Mail Online」は12月8日、「数千トンの魚の死骸が日本の海岸に打ち上げられる – 日本が福島の放射能処理水を海に放流してから3ヶ月後」という見出しの記事を発信。

記事には、「福島原発から放出された放射能処理水が地元の生態系に大混乱をもたらしたとの憶測を呼んでいる」「今回の現象は、日本当局が放射性物質を含んだ処理水を海に戻し始めてからわずか3ヶ月後に発生した」などと書かれていた。

このほか、X上でも「Fukushima」「Fukushima water」「Fukushima nuclear water」などと、福島の処理水と函館の事案を関連づけるような英語の投稿が相次いだ。

これを受け、ハフポスト日本版は同11日、他社に先駆けて記事「函館イワシ大量死、原因は「Fukushima」とする根拠なき投稿多数。専門家の見解は」を配信。

処理水放出前から国内外で魚が打ち上げられる事案は起きていることや、「大型の魚に追われて浜辺に打ち上がったのではないか」という2人の専門家の見解などを伝えていた。

福島第一原発の処理水は、2023年8月から放出が始まった。

国際原子力機関(IAEA)は7月、処理水の海洋放出を「人や環境に与える放射線の影響は無視できるもの」とする包括報告書を公表しており、これまでの放出で海水・魚類への影響は確認されていない。

処理水の安全性については、ハフポスト日本版が10月19日に出した記事「処理水とは何?汚染水と言わない理由は?危険じゃないの?福島第一原発【3分でわかる】」で確認することができる。

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