秋はスポーツの季節です。しかし、いくら運動が体にいいといっても、時間帯によっては悪影響を及ぼすことをご存知ですか。睡眠コンサルタントの友野なお先生にアドバイスしていただきました。
「秋の夜長」になかなか寝付けず、つらい思いをすることがあります。何が原因なのでしょうか。
「睡眠の現われは、2つの法則に従って成り立っています。ひとつは体内時計、もう一つはホメオスタシス(生体恒常性維持)です。
睡眠におけるホメオスタシスは、ひと言でいえば“睡眠への欲求”。私たちの体は、疲れによって脳がシステムダウンしないよう、そして常に体を一定の状態で動かせるよう“疲れたら眠る”とプログラミングされているのです」(友野先生)
眠れないのは、疲れが足りていないからなのでしょうか。
「デスクワークが多い人は、夜になってもなかなか寝付けないことがあると思います。これは、頭は疲れているのに体の活動量が少ない、というアンバランスが原因の1つです。
旅行でいつもよりたくさん歩いた日は、ぐっすり眠れるという経験をしたことが誰でもあると思います。身体的な活動量が多かった日はぐっすり眠れるので、安眠のためには日頃から運動習慣をつけておく必要があるのです」(友野先生)
不眠症は、運動習慣がないことと関連性があるのですね。
「その通りです。さらに快眠効果を上げるための運動の“ゴールデンタイム”もあるので、せっかく運動するなら、そうした時間帯を意識すると良いでしょう。
スムーズな入眠と質の高い睡眠を維持するには、前日就寝した時間から約19時間後に運動してください。前夜23時に就寝したのであれば、翌日の18時が運動のゴールデンタイムというわけです。
この時間帯は1日の中でもっとも深部体温が高く、眠ろうとしても眠れない“睡眠禁止ゾーン”と呼ばれています。ここで運動してさらに体温を上げると、その後の体温下降がスムーズになり、自然と体がおやすみモードへ移行するのです」(友野先生)
どんな運動がお勧めですか。
「手軽にできる運動ならば、スクワットなどの無酸素運動を5分程度した後に、ウォーキングなどの有酸素運動を20分程度行いましょう。通勤時間帯であれば、会社や駅では階段を使う、ひと駅前で降りて歩くなど、意識的に体を30分程度動かしましょう」(友野先生)
ただ、ひとつだけ注意してほしいことがあるといいます。
「ゴールデンタイムがある一方で、快眠を妨げてしまう運動のNGタイムもあるのです。
一般的に21時を過ぎると、体がおやすみモードへ切り替わるため、その時間帯は体温が上昇するような激しい運動は避けましょう。交感神経が優位になりすぎてスムーズに入眠できなくなるばかりか、質の高い睡眠が得られなくなるので逆効果です」(友野先生)
ベッドに入る時間がバラバラな場合は、どうすればいいですか。
「人によって生活のサイクルは違いますが、大体の目安として19時の前後1時間はゴールデンタイムと考えていいでしょう。毎日18時から20時の間で30分程度、適度な運動を行ってください」(友野先生)
そこから19時間逆算すると、23時から深夜1時の間には寝たほうがいいということですね。秋の夜長を夜更かしに使うのではなく、ゴールデンタイムの運動に使って、やすらかな安眠を手に入れましょう。
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