スマートフォンの時代を終わらせると謳う「AI-Pin」という新しいデバイスを、米企業のHumaneが発売する予定です。AI-Pinは一体どのようなデバイスで、どのようなユーザー体験を与えてくれるのでしょうか?テック系YouTubeチャンネル「Interesting Engineering
」が、AI-Pinの詳細について解説しています。
*Category:テクノロジー Technology *Source:Interesting Engineering,hu.ma.ne
AI-Pinは、コンピュータとバッテリー・ブースターの2つから構成されています。バッテリー・ブースターは、メイン・コンピューター内の小型バッテリーに電力を供給します。
AI-Pinの操作は、声、タッチ、ジェスチャー、またはレーザーインク・ディスプレイを通じて行われます。
AI-Pinはボタンを押して話しかけるだけで「次の日食はいつ?」のような質問に答えてくれたり、友人にメールや電話をすることができます。AI-Pinは、OpenAIの「ChatGPT」を動かす大規模言語モデルGPTを融合した独自のソフトウェアが搭載されているようです。
AI-Pinはライブ翻訳にも対応していて、上記動画内では英語からスペイン語に瞬時に変換されていました。
またクアルコムのSnapdragonチップセットを搭載し、AIにとって重要な高速処理も可能です。Humane社は「AI-Pinはスマートフォンでできることすべて、そしてそれ以上に必要なすべてのことができる」と述べています。
このデバイスは非常に小さいにもかかわらず、ウルトラワイドRGBカメラの深度センサーとモーションセンサーを搭載し、スピーカーも備えています。当然のことながらBluetoothでイヤホンに接続することも可能です。
さらにAI-Pinはセキュリティ性能も高く、完全な透明性とデータの安全性が確保されているとHumaneはアピールしています。AI-Pinは常に録音などをしているわけではなく、音声などを収集するときは「Trust Light」が光り、一目で分かるとのこと。
万が一物理的な改ざんが行われた場合、AI-Pinは動作を停止します。そしてHumane社による復旧作業が必要になるとのことです。
AI-Pinとスマートフォンが決定的に違うところはアプリの有無です。AI-Pinにはアプリが無く、搭載されている「Humains OS」が何を必要としているかを理解し、瞬間的に適切なAIを選択します。そのため、アプリを探したり、ダウンロードしたり、管理したりする必要はありません。
AI-Pinには、クリップで固定するアダプターや、本体を保護するケースや、充電ケースなど様々なアクセサリーも用意されています。
AI-Pinは米国で、「充電パッド」「ケーブル」「アダプター」「充電ケース」「予備のバッテリーブースター」が付属して約10万円で販売されます。その他、T-Mobileを通じたデータ通信に月額24ドル(約3600円)がかかるとのこと。日本での発売については未定です。
しかし、これだけ多くの機能を備え、価格もiPhone並みになっているにも関わらず、「AI-Pin」がスマートフォンの時代を終わらせるという見方には懐疑的な意見が多く上がっています。米老舗レビューメディア「The Verge」は、防水性の欠如や「テニスボールと同じくらいの重さ」を指摘したうえで、「野外での使用は現実的ではない」と指摘しました。
In public settings, would you rather yell at your chest to talk to a voice assistant or pull out your phone to look up the information yourself? I know what I would choose, because I recently had to.
— 引用:The Verge
訳:公共の場で、あなたは自分の胸に大声を出して音声アシスタントと話すのと、携帯電話を取り出して自分で情報を調べるのと、どちらがいいだろうか?私は最近、そうせざるを得なかったからだ。
米メディア「Axios」は、「AI-Pin」には基本的なスマートフォンの機能が欠けていると指摘し、置き換えるには「もっと多くのことをする必要がある」と述べました。
But Humane’s gadget is missing a lot of features found on even a basic smartphone. As of now, the Ai Pin can’t access e-mail, record voice memos or even take videos.
— 引用:Axios
訳:Humaneのガジェットには、基本的なスマートフォンに見られる多くの機能が欠けている。今のところ、Ai Pinは電子メールにアクセスすることも、ボイスメモを録音することも、ビデオを撮ることもできない。
スマートフォンの時代からの転換という大きな目標を掲げたHumaneですが、その実現にはまだまだ多くの課題が残るようです。
オリジナルサイトで読む : AppBank
ChatGPT登載「AI-Pin」は本当に「スマホ時代を終わらせる」のか?