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国立科学博物館は11月6日、資金繰りの悪化を受けて実施したクラウドファンディング(CF)に9億1556万円の支援金が集まったと発表した。目標額の1億円を大きく上回った。
CFは標本や資料の収集・保管などに充てるため8月7日から11月5日まで実施。5万6562人が支援した。
博物館の説明によると、博物館が保有する登録標本・資料数は500万点超にのぼり、さらにその数は毎年数万点ずつ増えているという。
これらの標本や資料は、現在と未来の研究に必要不可欠な財産であるが、適切な収蔵保管環境を整えるためには多くの資金が必要になる。
しかし、コロナ禍による入館料収入の減少や、物価高による保管容器や保存液などの高騰、収蔵庫建築費用の大幅な増加といった複数の要因が重なり、自助努力や国からの補助だけでは追い付かない状態となり、CFによる資金調達に踏み切った。
CFでは、40種類以上の返礼品を用意。中でも、博物館の全研究者が自身の「最推し」標本を選んで解説した「かはくオリジナル図鑑」には、計3万人超からの申し込みがあった。
このほかにも、研究で使用された「研究ノート」の一部をデザインしたトートバックや博物館の研究施設を周るバックヤードツアーなど多様なコースが用意されている。
また、CF期間中には、さまざまな分野の研究者が自身の「推しコレクション」を紹介し、標本や資料への愛を語る「かはくの偏愛研究室」をYouTubeでライブ配信。博物館の魅力を視聴者に伝えた。
篠田謙一館長は6日に都内で開いた記者会見で、今後の課題として「継続的な寄付に変えていくことが重要。クラウドファンディングはあくまで一過性のもの。賛助会員という形で毎年いくらかのお金をサポートしてくれる人を増やすことが重要だ」と説明した。
独立行政法人である国立科学博物館に対しては、国がもう少し支援すべきだとの意見もあり、今回のCFは国の予算のあり方に一石を投じることになった。
篠田館長は国からの支援について問われると、「大変、答えにくい話だ」と前置きした上で「国に対してもさまざまな支援をお願いしているが、それに限ることなく資金を入れていくことが重要だろう」と述べた。
そして「我々はもっといろんなことができると自負しているし、もっと資金があればもっといろんなことがやれる能力があると自分たちで思っているし、実際にそれを示してきたと考えている」と強調した。
また、国立科学博物館は5日夜、公式X(旧Twitter)に動画を投稿。篠田館長が「『地球の宝』を守るということで始めた資料・標本の収集のためのプロジェクトだったが、私たちにとっての宝は皆さんとつながることができたこと、『かはく』をこんなに大事にしてくれる人たちが多くいるんだということを再認識できたことだ」と話した。
https://twitter.com/museum_kahaku/status/1721168328155361335?ref_src=twsrc%5Etfw
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
国立科学博物館のクラファンに9億円超。国の予算のあり方に一石を投じる結果に。館長が会見で述べたこととは?