トランスジェンダーの性別変更、最高裁が生殖不能の手術要件を「違憲」と判断

弁論に臨む戸倉三郎最高裁長官(奥中央)ら=9月27日、東京都千代田区の最高裁大法廷

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トランスジェンダーの人が戸籍上の性別を変更するには、生殖能力をなくす手術を受ける必要があるとする「性同一性障害特例法」の要件について、最高裁判所大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は10月25日、「憲法に違反する」と判断した。NHKなど、報道各社が報じた

最高裁の裁判官15人の全員一致の判断となった。最高裁が法令を違憲とするのは戦後12件目で、性的マイノリティの権利に関しては初めて。国会は法律の見直しを迫られることになる。

何が違憲と判断されたのか

2004年に施行された「性同一性障害特例法」では、戸籍上の性別変更を認める要件として、専門的な知識を持つ2人以上の医師から性同一性障害の診断を受けていることに加えて、以下の5つ全てを満たす必要があると定めている。

・18歳以上であること
・現在、結婚していないこと
・現在、未成年の子どもがいないこと
・生殖腺がない、もしくはその機能を永続的に欠くこと(生殖不能要件)
・変更する性別の性器に似た外観を備えていること(外観要件)

このうち、生殖不能要件と外観要件の2つが手術要件と呼ばれ、前者を満たすには卵巣・精巣の摘出、後者では陰茎切除などが原則必要とされる。

朝日新聞などによると、最高裁はこの日、生殖不能要件を違憲と判断。一方で、外観要件については高裁段階で検討されていないとして、最高裁としての判断はせずに審理を高裁に差し戻した。

今回の決定により、無効となった生殖不能要件のみが壁になっていた当事者は、手術をせずに性別変更することができるようになる。一方で、外観要件は維持されるため、手術が必要とされる人たちは、相当数残る。

性同一性障害特例法をめぐっては最高裁第2小法廷が2019年に、生殖機能をなくす手術を求める規定について、社会情勢の変化に伴い、判断が変わる可能性も示唆した上で、「現時点では合憲」と判断していた。

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トランスジェンダーの性別変更、最高裁が生殖不能の手術要件を「違憲」と判断

Takeru Sato