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明治神宮外苑の再開発計画の認可取り消しを求め、159人の市民が東京都と小池百合子知事を訴えている裁判の第2回口頭弁論が10月11日、東京地裁(岡田幸人裁判長)で開かれた。
この再開発では神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えて建て替えるほか、高さ185〜190メートルの高層ビルを建築する。
工事に伴い多くの樹木も伐採され、神宮外苑が大きく様変わりすることになる。
この日の口頭弁論では、建築家やラグビーファンの原告が意見陳述し「再開発により、日本近代都市計画における貴重なランドスケープや、樹木が失われる」と訴えた。
原告で建築家の横河健氏は、1926年に竣功した神宮外苑について、当時の技術者が叡智を絞った「日本の近代都市計画史上、初めての完成度の高いランドスケープデザインだ」と意見陳述で説明した。
横河氏によると、神宮外苑の周回道路は都内にありながら深い森の中を自動車が回遊して4カ所へと流れる作りで、緑の芝生を中心に置き、外側になるほど高い樹木が配置されるデザインだ。
横河氏は「日本全体を見回しても、このように整ったランドスケープデザインはあまり見当たらない」と述べ、この場所に超高層ビルやホテルを建てることで、歴史資産を破壊してはならないと訴えた。
ラグビーファンの立場から再開発に反対したのは、原告の大林聖弥さんだ。
秩父宮ラグビー場は、大学OBが私財を売るなどして建設資金を集め、選手らの勤労奉仕も加わって完成した。
これまで100回以上秩父の宮ラグビー場で観戦してきたという大林さんは、この競技場を壊す現計画は、ラグビーファンの気持ちを置き去りするものだと意見陳述で述べた。
大林さんが秩父宮ラグビー場の建て替えとあわせて問題としたのが、同ラグビー場と4列のいちょう並木をつなぐ道沿いにある、18本のいちょうの木の危機的状況だ。
この18本のいちょうが植えられている場所には、新しい神宮球場が建てられることになっており、事業者は当初この18本を伐採するとしていた。
その後、大量の樹木が切られることへの批判の高まりを受け、事業者は「移植」に変更したものの、専門家からは100年もの歴史があるいちょうの移植は簡単ではないという指摘もある。
大林さんも、18本は最終的に失われるのでないかという危機感を抱いており、いちょうや秩父宮ラグビー場を守るためにも、まずは東京都に認可を取り消してほしいと求めた。
樹木伐採への批判が強まる中、事業者は9月に「令和の献木プログラム」を立ち上げた。
このプログラムで、事業者は市民から賛助金を募り、事業者自身が木の種類や樹齢を選んで新たに植え直し、神宮外苑の新しい緑を創出していくという。
この事業について、原告団長で経営コンサルタントのロッシェル・カップさんは、「矛盾を感じる」と口頭弁論後の記者会見で述べた。
「神宮外苑は国民からの献金と献木と勤労奉仕で作られましたが、今回の再開発では、その時に植えられた樹木が伐採されます。事業者は代わりの樹木を植えるための献金がいいことであるかのように言っていますが、自分たちのやっていることを美化しているように感じます」
「また、事業者は再開発では多くの儲けを得る見込だと思いますが、儲かっている人が『我々を応援して献金してください』と言うのはおかしいのではないだろうかとも感じます」
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
100年前の人が叡智を絞った神宮外苑の「ランドスケープ」を破壊しないで。建築家らが裁判で訴える