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飛行機での海外旅行は環境への悪影響が大きい。そして私たちはその影響による変化に、予想よりも早く直面するかもしれない…。
カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量をプラスマイナスゼロにすること)な旅行会社、Intrepid Travel社の新たな調査によると、私たちは近い将来、個人それぞれが旅行のために使えるカーボン(炭素)許容量を割り当てられることになるだろうという。
それは何を意味するのか?報告書を見てみよう。
Intrepid Travel社は、気候変動が多くの人気観光地に与えている圧力が、飛行機での旅行を抑制するための旅行制限につながる可能性があるという。
同社は未来を予測するコンサルティング企業The Future Laboratoryと共同で作成した報告書の中で、いくつかの人気観光スポットが「消滅」する可能性があることから、「個人カーボン許容量」が導入されるかもしれないと予測している。
「この許容量は、2050年までの世界のカーボンバジェットである7500億トン内に収めるために、個人に炭素を配分することを強いるパスポートとなるだろう」
「2040年までに、毎年の旅行の量に制限が課されることが予想される」と同報告書は述べる。
同社は「今日の旅行者が簡単に経験することができる世界を広げるような体験を、見送らなければならなくなる」と加えた。
The Independent紙によると、Intrepid Travel社の共同設立者で会長のダレル・ウェイド氏は以下のように語っている。
「気候変動がもたらす直接的で破滅的な影響は、あまりにも長い間、遠い未来のことと見なされてきた。しかしこれは差し迫った危機ではなく、今起こっていることなのです」
2023年9月はこれまでとは「桁外れ」の差で世界で最も暑い9月だったという気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」の新しいデータも注目すべきだ。
ウェイド氏はまた、「観光業の今のモデルはサステナブルではない。進化し、リジェネラティブ(再生可能)にならなければなりません」
「未来は『通常のビジネス』から変わらなければいけない。残された時間は限られていて、旅行を脱炭素化し、旅行業の持続可能な発展の大きな可能性を達成するには、早急な集団でのアクションと革新が必要です」と述べた。
そう示唆するデータもある。
Advantage Travel Partnership社がイギリスの成人2000人を対象に行った調査の結果によると、18歳から24歳の70%が、天気パターンの変化により旅行時期を変更する可能性が「ややある」または「非常にある」と回答した。
また、若い年齢層の回答者の62%が、一部の国で温暖化が進んだ場合、旅行先を変更するだろうと答えた。
一方、すでに温暖化の影響に直面している人気観光スポットもある。
この夏、南ヨーロッパでは山火事が多発し、イタリアのヴェネチアは危うく「危機的状況にある世界遺産」に指定されそうな状況にあった。
それにもかかわらず、航空機によるCO2排出量は他のどの交通手段よりも急速に増加し、ヨーロッパ交通環境連盟によると、1990年代から2019年の間に2倍以上に増加しているという。
そして、変化に対する抵抗はいまだに強い。
イギリスのスナク首相は9月、政府の環境保護に関する公約を撤回し、飛行機の利用を抑制するための新たな税金を導入しないと宣言したばかりだ。
飛行機はCO2排出量が多く、地球に悪影響を及ぼし温暖化を加速させていることは、今や常識だ。
もちろん、現在の気候危機を深刻化させているのはそれだけが原因ではない。
魚の乱獲、工業化、発電などもその一因だが、飛行機が特に悪いのは、大気の高層に直接ガスを排出するからだ。
イギリス民間航空局(CAA)によると、高い高度で排出されるガスは、地上で排出されるガスとは異なる影響を与える可能性があるという。
飛行機はCO2だけでなく、窒素酸化物、飛行機雲を放出し、こうした排出物はCO2の2倍も地球温暖化に影響するという。
ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
気候変動と闘うため旅行制限の可能性も。これから海外旅行はどう変わる?