9月に入っても蒸し暑い日が続いています。こうした高温多湿な環境はダニにとっては快適で、繁殖しやすい環境になります。
部屋の掃除はもちろん、こまめに衣類や布団の洗濯でダニを駆除しているので「大丈夫」と思っている人もいるかもしれませんが、実は生きたダニは洗濯では駆除できないといいます。
衣類や布団のダニを駆除するにはどうすればいいのかなどについて、ダニやアリ、ハチなど害虫被害の困りごとを解決するプラットフォーム「害虫駆除110番」を運営するシェアリングテクノロジー(本社・名古屋市)の広報担当者にポイントや注意点などを伺いました。
生きたダニは洗濯では駆除できないそうですが、それはどんな理由によるのでしょうか。
「生きているダニは衣類などの繊維に強い力でしがみついているため、家庭用の洗濯機で数回水洗いした程度では、流し落とすことができません。
洗剤に含まれている成分で駆除されるのではと思われるかもしれませんが、ダニは生命力も強く、洗剤につけ置きしても、数日間は生き延びてしまうほどです。
ですから、洗濯で生きているダニは駆除できないという前提で、対処法を考える必要があります」(シェアリングテクノロジー広報担当者)
生きているダニは洗濯では駆除できませんが、死骸(しがい)やフンも洗い流すことはできないのでしょうか。
「死骸やフンは洗濯によって、ある程度洗い流すことは可能です。死骸やフンはアレルギーの原因になりますので、衣類や布団のダニを駆除した後に、死骸やフンを洗い流すという目的であれば、洗濯は効果的といえます。
ただし、生きているダニを駆除しなければ、衣類や布団の中でダニは増殖していくばかりです。さらに家庭用洗濯機では、駆除できなかった生きたダニが洗濯の際に他の衣類へ移ってしまう可能性もあります。
正しいポイントを理解して、生きているダニを衣類や布団から駆除していきましょう」(同)
衣類に潜む生きたダニを駆除するためには、どのような方法があるのでしょうか。
「ダニは乾燥と高温に弱い生き物です。50℃なら30分、60℃なら一瞬で死滅するとされています。
ドラム式洗濯機の熱風乾燥機能やコインランドリーの熱風乾燥機は、それ以上の高温になりますので、ダニを死滅させることが可能です。
生きたダニは熱風乾燥機を用いて、駆除してください。そのうえで、死骸やフンを洗濯機で洗い流したり、掃除機で吸い取ったりしてしっかりと除去しましょう」(同)
熱風乾燥機が使えない場合にも、有効な対処法はありますか。
「アイロンを使用しても問題がない衣類であれば、アイロンをかけてダニを死滅させることが可能です。
そのほか、ダニが繁殖してしまった衣類については、50℃以上の湯に30分以上つけ置きすれば、死滅させることができます。
ただしデリケートな素材の衣類は、高温の湯をかけると変色したり生地が傷んでしまったりする可能性があるので、これらの方法は避けたほうがいいでしょう」(同)
衣類に加えて、布団もダニが繁殖しやすい場所です。洗濯以外の布団のダニ駆除には、どのようなポイントがありますか。
「先に述べたようにダニは乾燥と高温に弱い生き物です。市販の家庭用布団乾燥機でも60~70℃まで布団が温められますので、布団乾燥機をしっかりとかければ、ダニを死滅させることが可能です。
ダニ駆除には1日2回、3日連続の乾燥機使用が有効とされています。これは、1回の使用ではダニの3割しか死滅させることができないとされているからです。
ダニの駆除に特化した機能をもった布団乾燥機も市販されています。1~2時間で効果が現れる製品から6時間程度必要な製品までさまざまですが、説明書に従って操作してください。
ダニの繁殖を抑制するためには、残暑の厳しいこの時季であれば1週間に1度。冬場でも1ヵ月に1度程度は布団乾燥機を使うようにしましょう」(同)
布団の天日干しは効果があるのでしょうか。
「晴れた日の布団干しは布団を乾燥させて、ダニが生息しにくい環境を作ることができます。継続して行えば、ダニの予防としては効果的な方法といえます。
ただし、晴れた日だからといって、天日干しだけでは生きたダニを駆除することはできません。ダニは体温が上昇する前に日光が当たらない部分に逃げて、生き延びてしまうからです。
布団乾燥機や天日干しの後に掃除機をかけると、表面にいるダニやダニの死骸、フンは吸い取ることが可能ですが、内部のダニまで吸い取ることは難しいです」(同)
市販のダニ取りシートは効果が現れるまでに数週間かかることもありますが、チリダニやツメダニの捕獲には有効だそうです。
これらの対処法を試してもダニの駆除効果が感じられないようでしたら、クリーニング専門店に布団を持ち込んで、丸洗いクリーニングを依頼することも考えましょう。
9月の残暑はもうしばらく続きそうです。衣類や布団のダニ駆除を十分に行って、少しでも快適な暮らしを心がけていきましょう。
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