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苗木園のスタッフたちを何週間も悩ませ続けた「謎の泥棒」の正体は、皮肉にも、彼らが救おうとしている野生のコアラだった。
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州にあるイースタンフォレスト苗木園では、動物によるユーカリの食べ荒らしが問題になっていた。BBCによると、被害が発覚した当初は、ヤギかポッサムの仕業だと思われていたという。
しかしある朝、苗木園のスタッフが出勤すると、剥がれたユーカリの苗木に囲まれて、満腹で身動きが取れなくなっているコアラが見つかった。
苗木園のオーナーであるハンフリー・ヘリントンさんは「お腹いっぱいで、とても満足そうでした」と、コアラの様子を語っている。
このコアラにより食い荒らされた苗木は数千本。約6000豪ドル(約56万円)相当の被害となった。
ユーカリ荒らしを「現行犯逮捕」されたコアラはクロードと名付けられ、苗床から300メートルほど離れた木に移されたが、数日後にユーカリの苗木に帰還。再び夜な夜な「葉っぱ泥棒」を繰り返したという。
ヘリントンさんは「まさかコアラだったとは。ショックではありましたが、少し感動しました」とBBCのインタビューに答えた。
この珍事を面白がる一方で、コアラの生息環境に関する懸念も指摘。「私は20数年ここにいますが、こんなことは初めてです。餌が不足しているのでしょうか?」と不安を吐露している。
自然保護団体「WWFオーストラリア」も、このような出来事が起きたのは「食料源が乏しいことを示唆している」とコメントした。
コアラを取り巻く環境は、近年ますます深刻化している。2022年には、生息環境の破壊、気候変動の影響による干ばつや森林火災の拡大により、絶滅の危機に瀕しているとして、オーストラリア政府により「絶滅危惧種」に選定された。
ニューサウスウェールズ州では、急速に個体数が減少するコアラを救うため、多くの取り組みがなされている。今回クロードによって食い荒らされた苗木も、コアラの餌と生息地の回復をめざすプロジェクトのために育てられていたものだった。
同州では9月12日にも、コアラの保護のため、生息地となっている森林の伐採を禁止することを発表している。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
56万円分のユーカリ泥棒した野生のコアラ⇒「お腹いっぱい」で捕まる。背景には餌不足の問題も