「スズキから自主基準超えの放射性物質」はミスリード。2月に発表、処理水放出後と誤解を招く恐れ「中国駐大阪総領事館」も過去に…

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「スズキから県漁連が自主的に設けた基準を超える放射性物質が検出されました。いったん排水を止めて他の方法も検討してみて」

8月24日に始まった東京電力福島第一原発の「処理水」放出を巡り、このような投稿が9月5日、X上にされた。

投稿には、「水揚げされたスズキから自主基準を超える放射性物質 出荷自粛に」というNHKの記事が添付されている。

しかし、この記事が配信されたのは今から7か月前の2月7日で、処理水放出後に確認されたものではない。

記事の日付の記述がないことなどから読み手の誤解を招く恐れがあるため、このポストは「ミスリード」だ。

また、2月にスズキから検出された放射性物質の値は、国際的な指標よりも厳格な日本の一般食品の基準を下回っている。

投稿には、この事実に関する記述もなく、福島県産食品に対する風評被害を助長する懸念がある。

なお、「スズキ」の件については、「中国駐大阪総領事館」が同じような投稿を過去にしており、その際も筆者(相本)が「ミスリード」と判定している

発信元の9月5日のポスト

読み手に誤解を与える可能性

「『福島県漁連によりますと、7日朝、いわき市の沖合8.8キロ、水深75メートルほどの漁場でとれたスズキから県漁連が自主的に設けた基準を超える放射性物質が検出されました』 いったん排水を止めて他の方法も検討してみて」

フォロワー36万人超の発信元は9月5日、このようにつづった。

発信元のタイムラインを遡ると、福島第一原発の処理水の放出に反対するような投稿をリポストするなどしている。

また、本件の投稿には、「水揚げされたスズキから自主基準を超える放射性物質 出荷自粛に」というNHKの記事も添付されていた。

これだけ見ると、処理水の海洋放出後にスズキから県漁連の自主基準を超える放射性物質が検出された、と思う人もいるかもしれない。

しかし前述の通り、NHKの記事は2月7日付で、スズキから県漁連の自主基準を上回る放射性セシウムが検出されたのは今から7カ月も前だ。

発信元がこのタイミングで投稿した意図は不明だが、投稿に2月の記事だという説明がないため、読み手に誤解を与える恐れがある。

なお、この発信元の投稿を見たユーザーからは「ミスリード」「風評を広げる」といった声が集まっているが、発信元は9月6日午前10時現在、投稿の訂正や削除は行っていない。

県漁連の自主基準とは?経緯を振り返る

では、「スズキから検出された県漁連の自主基準を上回る放射性物質」とは何か。

NHKの記事によると、福島県いわき市の沖合で2月7日に水揚げされたスズキから、県漁連の自主基準を超える放射性物質が検出された。

検出されたのは、1キロあたり85.5ベクレルの放射性セシウムだという。

厚生労働省のウェブサイト(HP)によると、日本の一般食品の基準値(放射性セシウムの現行基準値)は、1キロあたり100ベクレルだ。

厚労省は、この1キロ当たり100ベクレルという基準値を「だれが食べても安全」と説明している。

つまり、スズキから検出された放射性セシウムは、そもそも日本の一般食品の基準値を15ベクレルほど下回っている。

超えたのは、あくまで県漁連が自主的に設けた1キロあたり50ベクレルという基準で、この自主基準については、福島県がHPでこう説明している。

万が一にも国の基準値である100ベクレルを超えるものを出荷しないようにするため

県漁連の自主基準は、危険性を示す明確な根拠があるものではない、ということだ。

アメリカは1200ベクレル。「中国駐大阪総領事館」も過去に投稿

さらに、他国と比較すると、日本の1キロあたり100ベクレルという基準がいかに厳しく設定されているかがわかる。

消費者庁の「食品と放射能Q&A」によると、一般食品の放射性セシウムの基準は、アメリカが1キロあたり1200ベクレル、EUが同1250ベクレル、食品の国際規格を策定している「コーデックス」が同1000ベクレルとなっている。

繰り返すが、日本の一般食品の基準値は同100ベクレルだ。

なお、この「スズキ」をめぐっては、2月にも「中国駐大阪総領事館」が「福島県漁連は、スズキの出荷を停止した。 ーーやっぱり福島原発汚染水を勝手に海に放出しては行けない!!!」と投稿。

投稿には、スズキから検出された放射性セシウムが国の基準を下回っているという情報が抜け落ちており、福島県産食品に対する風評被害を助長する懸念があったため、筆者(相本)が「ミスリード」と判定している

「中国駐大阪総領事館」の投稿

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  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
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Keita Aimoto