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2022年8月初出の記事を再編集しました。
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「ごめんお父さんこれで帰って」
2022年8月、そんな言葉とともにTwitter上に投稿された、見たこともない「精霊馬(しょうりょううま)」の姿に反響が広がった。
お盆にお供えする風習がある精霊馬。ナスやキュウリに、麻の茎でつくった「足」を付け、牛や馬に見立てたもので、ご先祖様があの世とこの世を行き来するのに使う乗り物とされている。
投稿者は、前年に亡くなった父の祖霊を送り出す「送り火」を炊く予定とした日に、「昨日まで旅行で家を開けていたため冷蔵庫に野菜が何一つない」と気付いたという。
そこで代案として用意したのが、江崎グリコの人気商品「カプリコ」に爪楊枝で4本足を付けた精霊馬だった。
ナスやキュウリの精霊馬と似た…いや、似ても似つかない…誰もが見たことのないカプリコの精霊馬に、Twitter上では3万件以上のリツイートと、20万件以上の「いいね」が殺到した。
「これに乗って帰ったら羨ましがられると思う」「ナスやキュウリよりカッコよくね?」「私が死んだときも、これでお願いしたい」「この発想はなかった」と絶賛する声も相次いだ。
ハフポスト日本版は、投稿した漫画家の関口かんこさん(@pkb5648)に詳しい話を聞いた。
精霊馬をつくったのは、一人暮らしの自宅。旅行から帰ってきた際、父の「送り火」をしないとと気が付いたが、あいにく冷蔵庫は空っぽだったという。そこで、帰宅途中に自分用のおやつとしてコンビニで買っていたカプリコを精霊馬にすることを思いついたそうだ。
2021年に71歳で亡くなった父。お酒と人付き合いが好きで、悪ふざけや面白いことも大好きだったという。
「この精霊馬を父が見たら、『センスいいじゃん!』と言って笑ってくれると思います。『カプリコの精霊馬に揺られながらうたた寝でもして向こうにお帰りよ』という気持ちで、父の祖霊を送り出しました。
父は焼き菓子やお饅頭など甘いものを食べていたので、カプリコも手元にあれば普通に食べてくれると思います」
次の年以降もまた、カプリコや市販のお菓子などで精霊馬をつくるのだろうか。
「ウケを狙ったわけではなく、本当にナスやキュウリがなかったからカプリコにしただけなんです。次の年からは、忘れずに野菜を用意します。
ただ、きっと馬や牛の材料はなんでもいいのだと思います。お盆に精霊馬などを用意することで個人を思い出すこと自体が、供養になると思うので。
カプリコの精霊馬に対して『不謹慎だ』と指摘する声はあまりなかったです」
こうした風変わりな精霊馬をつくることに、意味も感じたという。
「あの人が喜びそうだな、楽しんでくれそうだな、と故人に思いを馳せながら精霊馬をつくるのも、アリではないでしょうか。亡くなった後もそんなふうに思ってもらえる故人は、怒ったりしないと思います。
ちなみに父はすごく目立ちたがりだったので、今回の大きな反響を喜んでいるでしょう。いい供養になりました」
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉
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冷蔵庫に野菜がない ⇒ 意外すぎる精霊馬が誕生。「これに乗って帰ったら羨ましがられる」と大反響【回顧記事】