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インターネット上の真偽不明な情報を検証する「ファクトチェック」の認知度について、日本は他国と比べて大幅に低いことがわかった。
総務省が7月4日、「情報通信白書」(2023年版)を公表した。
このほか、SNSやプラットフォームの特性に関する認知度も同様の結果だった。
白書は、ネット社会で真偽不明の情報が瞬時に届くようになったとし、「ファクトチェックを推進する必要性が急速に高まっている」としている。
白書によると、総務省は2022年2月、ファクトチェックの認知度について各国でアンケート調査を実施。
その結果、日本で「ファクトチェックの内容や意味を具体的に知っている」と回答した人の割合は、10.2%にとどまった。
他国は、アメリカが53.0%、韓国が44.6%、イギリスが34.9%、ドイツが26.0%、フランスが22.1%と、日本の2〜5倍に上った。
例えば、アメリカには政治家の発言の信憑性などを検証する「Polifact」というウェブサイトがある。
また、韓国にはソウル大学言論情報研究所傘下の組織「ソウル大学ファクトチェックセンター」という団体があり、国内のメディアが実施したファクトチェックの結果を集約し、ウェブサイトで公表している。
白書は「ファクトチェックの取り組みは欧米が先行しており、韓国や台湾などアジアの一部でも推進に向けた動きがみられる」と指摘。
日本での認知度が低い理由としては、「新聞やテレビなど、組織的に情報編集や発信を行うメディアが他国に比べて機能しており、国民が情報を判断するための情報源が存在していたから」と分析した。
ただ、最近はインターネット経由で真偽不明の情報が瞬時に届くようになったことから、「ファクトチェックを推進する必要性が急速に高まっている」と結論づけている。
日本は他国と比べて、SNSやプラットフォームの特性に関する認知度も低いことが判明した。
「SNSやプラットフォームで検索結果などが利用者に最適化(パーソナライズ)されていることを知っているか」と聞いたところ、日本で「よく知っている」と答えたのは12.5%だったが、アメリカは63.3%、ドイツは37.0%、中国は41.6%に上った。
また、「サービスの提供側が見てほしいアカウントやコンテンツが提示される場合がある」という問いでは、アメリカは46.5%、ドイツは25.4%、中国は33.9%が「よく知っている」と回答したのに対し、日本は9.8%にとどまった。
さらに、「SNSなどでは自分の考え方に近い意見や情報が表示されやすい」については、日本は9.6%しか「よく知っている」と回答しなかったが、アメリカは31.3%、ドイツは22.3%、中国は30.9%に上った。
この質問項目について、日本国内だけで見てみると、「よく知っている」と回答したのは20〜29歳が14.0%と最も高く、30〜39歳の11.0%、40〜49歳の10.0%、60歳以上の8.0%と続き、50〜59歳が4.0%と最も低くかった。
白書は、SNSやプラットフォームの事業者は、利用者個人のクリック履歴などを収集したデータを組み合わせて分析し、ターゲティング広告利用者が関心を持ちそうな情報を優先的に配信していると説明。
その結果、利用者の興味のある情報だけにしか触れなくなり、あたかも情報の膜に包まれたかのような「フィルターバブル」と呼ばれる状態になるとした。
このバブル内では、自身と似た考え・意見を持つ人たちが多く集まり、反対の考え・意見は排除(フィルタリング)されるため、その存在そのものに気づきづらい。
バブル内で自身が発信した意見に似た意見が返ってきて、特定の意見や思想が増幅していき(エコーチェンバー)、何度も同じ意見を聞くことで、それが間違いないと強く信じてしまうという。
その上で、「フィルターバブルやエコーチェンバーによるインターネット上の意見・思想の偏りが社会の分断を誘引し、民主主義を危険にさらす可能性もありうる」と警鐘を鳴らした。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
日本の「ファクトチェック」認知度、アメリカや韓国を大きく下回る結果に。SNS特性の認知度も【情報通信白書】