犬のフンは持ち帰る。これは常識ですが、残念ながら歩道や公園など、いたる所に散乱しています。しかし、犬のフンを道に放置するのは想像以上に悪いことなのです。シドニー大学博士研究員のメリッサ・スターリング氏が解説しています。
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この研究によって、公共の場で犬のフンが発見される場所にはいくつかのパターンがあることが明らかになりました。犬のフンは、犬を放し飼いにしている公園や、駐車場に近い場所で著しく多く見られます。
また、犬の散歩をする人がその地域をどのように利用してきたかも重要な要因となる可能性があります。イギリスのある研究では次のように指摘しています。
英国における家庭犬の排泄物の環境的・社会的影響:犬の散歩をする人の行動変容の障壁を探る
ゴミ箱の有無、道の形態、見通しの良さ、道の位置は、犬のフンの発生を決定する重要な要因である。
— 出典:researchgate
同じ研究で、ほとんどの飼い主はフンを持ち帰りますが、中には「プライドが高くて拾えない」人もいれば、犬のフンを置いてもいい場所やタイミングを状況に応じて判断している人もいると指摘しています。また、健康や環境への影響を知っていても拾おうとしない愛犬家もいるとのこと。
他の調査では、駐車場と放し飼い区域の間で犬を放し飼いにすることや、人気のある犬の散歩ルートに排泄物処理場を設けることを提案しています。しかし犬を放し飼いにして歩かせたり、排泄物処理袋を持たずに犬を散歩させたりしているのでは、何の役にも立ちません。また、フンを袋に入れたのに、その袋を放置して帰る人もいます。
水を入れたペットボトルを置くのは、昔から行われてきた方法です。しかしこれが効果的であるという証拠はなく、明確な理由もありません。また市販の抑止剤もありますが、それが効果的かどうか、またどのような条件下で効果的かを示す証拠もほとんどありません。他にも、強い香りが、フンをするために長居をするのを抑止できるという説もあります。しかし、香りは移動するため、繰り返し大量に使用する必要があるでしょう。そしてこの方法は、都市部の在来生態系に意図しない副作用をもたらす可能性があります。
フンを適切に処分する方法とそれらが引き起こす可能性のある害について教育することは、簡単で効果的なアプローチかもしれません。「犬の後始末をしてくれる飼い主の皆さん、地域社会はあなたに感謝しています」のような看板を出すのもいいかもしれません。
ちなみに犬のフンを処理する最善の方法は、ゴミ箱に入れることです。コンポストでは、犬のフンに含まれる有害物質を中和するために高温が必要であり、家庭用のコンポストでは十分な温度になりにくいのです。また、埋めるだけでは、これらの微生物が土の中に蓄積してしまいます。
犬のフンには、サルモネラ菌、大腸菌、ジアルジア、内部寄生虫など、人間に病気を引き起こす微生物が含まれている可能性があります。また、犬のフンは抗生物質耐性菌の温床となる可能性があります。つまり、人間が犬のフンに接触することで、治療が困難な細菌感染症を発症する可能性があるのです。さらに最近シドニーで行われた研究で、雨水に流れ込んだ犬のフンが水質汚染の重大な原因になっていることも指摘されています。
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犬のフンを路上に放置すると「健康被害」につながると科学者が警告