大苦戦中の楽天モバイル、なぜ三木谷氏はKDDIの「軍門に下る」ことを選んだのか
「(楽天グループの)事業ポートフォリオの価値を考えると、楽天銀行は上場で実現したが、その他にもまだまだ実現できるものはたくさんある」
2023年5月12日の決算説明会で、三木谷浩史会長兼社長は、今後も子会社上場を含めた資産売却を続けることを示唆した。すでに楽天グループは、楽天銀行の新規株式公開(IPO)に続いて楽天証券ホールディングス(HD)のIPOの準備に入っている。
持分法適用会社の西友ホールディングスを売却し、5月末には公募増資にも踏み切った。今後も「資本性資金の調達」(三木谷氏)を加速する方針だ。
事業を切り売りするかのような厳しい施策を強いられているのは、楽天が1つの厳しい現実に直面しているからだ。
それは「もはや日本には、楽天の社債を購入できる機関投資家はいない」(投資会社のファンドマネジャー)ということだ。日本の機関投資家は、新規発行の社債に投資する際は外部格付けに依存しており、かつ、横並びの投資行動を取るため、格付けの低い企業が社債を発行するのは事実上難しいという実態がある。
それがまさに楽天が陥っている状況だ。米格付け会社のS&Pグローバルによると、楽天グループの格付けは投資不適格級の「ダブルB」。既発債の市場でも楽天グループの社債のリスクが懸念されて価格が下落(利回りが上昇)している。追加の社債調達が難しいのは明白だ。
そうした中で楽天に創業以来の最大の危機が訪れている。それが今後5年間で1兆2000億円を超える大量の社債償還だ。社債発行による借り換えの手段が事実上絶たれる中で、楽天は一段と厳しい資金繰り地獄に突入することになった。
だが、楽天には、楽天市場や楽天カードをはじめとする有力事業がある。売却する資産は豊富にある中で、今後も危機を乗り越えるために一段の資産売却を加速するのは確実だ。
すでに「楽天解体」のカウントダウンは始まった。その猶予はおよそ1年だ。次ページでは、解体までの「余命1年」といえるその根拠を詳述しよう。次のページ
楽天解体のカウンドタウン!「余命1年」の根拠とは?
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