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東京電力福島第一原発で出る「処理水」をめぐり、外務省は6月22日、韓国のインターネットメディアの報道を「事実無根」と強く批判する内容の声明を発表した。
対象となったのは、「市民言論ザ探査」という名の韓国メディアが動画で伝えた内容。
日本の「外務省幹部A」が「日本政府は国際原子力機関(IAEA)に100万ユーロ以上の献金を行っており、IAEAの安全性レビューは最初から安全と決まっている」などと話したというものだ。
同省はこれを、「事実無根の無責任な偽情報流布」と強く批判した。
外務省によると、当該メディアは6月21日、日本の外務省幹部Aが話したとする文書を動画で公開した。
そこには、次のような内容が出ていたという。
①処理水の安全性レビューを行うIAEAや第三国専門家の意見をまとめるため、日本政府がIAEAに対して100万ユーロ以上の政治献金を行っている
②IAEAの安全性レビューの報告書は最初から絶対安全と決まっている
③IAEAの安全性レビューに参加する第三国専門家は「飾り物」である
これに対し、外務省は
・外務省幹部がそのような面談を行った事実はない
・日本がIAEAに対して政治献金を行ったり、IAEAレビュー報告書の結論が最初から決まっていたり、第三国専門家が飾り物といったことはあり得ない
としている。
「浅川:つまり、裏の仕事もあるのですね」
「A:IAEAは技術支援だけでなく、財政支援も必要です」「私が言えるのは、少なくとも100万ユーロ以上ということです」
「浅川:報告書も問題ないとのことですか」
「A:もちろん、報告書の結論は最初から絶対安全であり、すべての結論はこの分析方法に奉仕するんです」「IAEA事務局との関係が良好であれば、専門家はあくまで飾り物です」
「浅川:処理水が放出される後、しばらくは魚を食べたくないと思います」
「A:(笑)」
福島第一原発をめぐっては、原子炉建屋に雨水や地下水が流入したりして、高濃度の放射性物質を含む「汚染水」が発生している。
これを「多核種除去設備(ALPS)」などに通し、放射性物質を取り除く処理をかけたものが「処理水」だ。
処理水は、技術的に取り除くことが難しい水素の仲間「トリチウム」を含んでいるが、この物質は自然界や水道水にも存在し、以前から世界各国でも、福島以外の国内の原発でも海洋放出されてきた。
福島第一原発の敷地内では、処理水を貯めた巨大なタンクが増え続けており、本格化する廃炉作業を進めるためには、新しい施設を建設して処理水のタンクを減らす必要がある。
これが海洋放出する理由だが、国際原子力機関(IAEA)も「科学的根拠に基づくものであり、国際慣行に沿うもの」と評価している。
また、IAEAは、福島第一原発の処理水の安全性レビューに関する報告書を2回公表している。
最初の報告書では、処理水の安全性について、包括的で詳細な分析が講じられており、「人の放射線影響は日本の規制当局が定める水準より大幅に小さいことが確認された」と説明。
2回目の報告書では、過去に指摘した課題から大きな進展があり、経済産業省と東京電力への「追加ミッションは必要ない」としている。
最終的な報告書は6月末までに取りまとめられる予定だが、韓国のネットメディアは今回、この報告書やIAEAのレビューは最初から結論が決まっている「やらせ」であり、日本政府がIAEAに献金して好意を買っている、と主張したことになる。
韓国では福島の処理水放出が政治問題化しており、野党の代表が「核廃水」と発言。客観的で科学的な検証を重視する尹錫悦政権を攻撃する材料としている。
放射性物質の除去処理を行った水(=処理水)をメディアが「汚染水」と呼び続けることも珍しくない。
東京新聞によると、こうした状況で不安を煽られた韓国の消費者が海水から精製される塩を、今のうちに買いだめする現象も起きているという。
日本政府は、科学的根拠に基づく安全性を解説する特設サイトや動画がネット上で公開し、「全国的に福島の復興を考えるきっかけづくりにしたい」としている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「裏の仕事もあるのですね…」福島原発の処理水めぐる韓国報道に、外務省が「事実無根」と強く批判