合わせて読みたい>>仕事も経済も回しながら“がっつり”休む。バカンス大国・フランス流の「働き方」は、日本のヒントになるか
厚生労働省の有識者研究会「今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会」は6月12日、働き方や育児・介護と仕事の両立支援策などに関する報告書案を公表した。
仕事と育児の両立に関しては、子どもの年齢に応じた支援策が必要とし、テレワークや残業をしない働き方の重要性などについて言及している。
特に子育て世帯が知っておきたい、報告書案のポイントをまとめた。
報告書では、仕事と育児の両立に関する現状として、2021年度の育児休業取得率は女性が85.1%であるのに対し、男性は13.97%と偏りがあると説明。
また、女性の9割以上が6か月以上の育休を取得しているが、男性は約5割が2週間未満であり、男女間で差が見られるとした。
一方、育休を取得していないものの、利用したかったとする男性が約3割いることや、育休をとって子育てをしたい男性の割合が年々増えていることも紹介。
若い世代を中心に、「夫婦で育児・家事を分担することが自然」という考えが広まりつつあるとし、「女性のキャリア形成に対する希望、男性の育児に積極的に関わりたいという希望に応えていくことが必要」と言及した。
このような現状を受け、報告書は子どもの年齢に応じた両立支援策を提示した。
まず、子どもが3歳になるまでは、特に女性が円滑にキャリア形成をできるように配慮し、フルタイム勤務に近い形態で能力を発揮できるように整備していく必要があると指摘。
このため、出社・退社時間の調整などに加え、「テレワークを企業の努力義務として位置付けることが必要」とした。
テレワークは通勤時間が削減できるため、「フルタイムで勤務できる日を増やせることを含めて、仕事と育児の両立に資する」としている。
なお、この場合は、テレワークでも保育園の入所などで通勤する人と差が出ないようにすることが重要とした。
3歳から小学校入学前までの子どもがいる場合については、男女ともに柔軟な働き方の選択肢を増やし、残業をしない働き方の重要性について示した。
例えば、時短勤務やテレワーク、フレックスタイムなどから、企業が2つ以上の制度を設けて労働者が柔軟に選択できるようにすることを義務付けるとした。
理由は、労働者が柔軟な働き方を活用しつつ、フルタイムで働ける制度を選ぶことができるようにするためだ。
また、残業が常態化している職場では、正社員の女性を中心に時短勤務からフルタイムに戻りづらい状況があると指摘。
「残業のない働き方」が望ましいとし、現在は3歳になるまで請求できる残業免除を「小学校就学前まで」とすることが適当とした。
小学校就学以降は、フルタイム社員と同じように働きながら、必要に応じて家庭のことに対応できる休暇制度を設けることが必要としている。
今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会は、2023年1月に第1回を開催。
法政大学キャリアデザイン学部の武石恵美子教授が座長を務めており、これまで半年にわたって議論や企業へのヒアリングなどを行ってきた。
この報告書を受けて、厚労省は来年の通常国会に、育児・介護休業法改正案などの提出を目指すという。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「3歳になるまでテレワークを努力義務」厚労省の報告書案、子育て世帯が知っておきたいポイントは?