「法律上の性別が同じ者同士の結婚が認められないのは憲法違反だ」として、九州在住の性的マイノリティのカップルが国を訴えていた裁判の判決が6月8日、福岡地裁(上田洋幸裁判長)であった。
上田裁判長は、同性カップルに結婚し家族になるための法制度がないことは、個人の尊厳に立脚して法を制定することを求める憲法24条2項に「違反する状態」との判断を示した。
一方で、社会の変化の時期などを考慮し、「国会の裁量権の範囲を逸脱したものとはいえない」などとし、国への賠償請求は棄却した。
一連の裁判ではこれまでに、3つの違憲判決と1つの合憲判決が全国の地裁でそれぞれ出されており、今回で「違憲」の判断は4件目となった。
この裁判は全国6つの地裁・高裁で進行中の「結婚の自由をすべての人に」訴訟の一つだ。
九州では、婚姻届を受理されなかった3組の同性カップルが原告となり、結婚が認められないことは憲法の保障する「結婚の自由」や「法の下の平等」を侵害していると訴えてきた。
裁判では、次のような点が争われてきた。
【原告の主張】
⚫️結婚の自由の侵害
個人の尊重と幸福追求権を定めた憲法13条、および結婚の自由を保障する憲法24条1項は「結婚をするかどうか、いつ誰とするか」は個人が選べるものだとしている。
それなのに、法律上の同性カップルは結婚を認められていない。これは憲法13条と憲法24条1項の定める「結婚の自由」を侵害している。
⚫️法の下の平等違反
憲法14条は「すべての国民は法の下に平等」で「性別などで差別されない」と定めている。
それなのに、原告らは法律上の性別が同じというだけで結婚ができない。
これは、性別および性的指向に基づく差別に当たり、法の下の平等に反している。
⚫️結婚や家族に関する立法義務違反
憲法24条2項は、配偶者の選択を含め「結婚や家族に関する法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に基づいて作らなければならない」と定めている。
原告はこういった主張をした上で「国がこの違憲状態を正すための法改正をしてこなかったことが法律違反に当たる」として、国の賠償責任を問う訴訟を起こしている。
一方、原告の主張に対し、被告である国は次のように反論してきた。
【国の主張】
▼憲法24条に書かれている『両性』は男女を意味しており、同性婚を想定していない。そのため憲法違反ではない
「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、法律上の同性カップルの結婚が認められないことの違憲性を問う日本で初めての裁判だ。現在30人のLGBTQ当事者が原告に名を連ねている。
2019年2月に札幌、東京、名古屋、大阪の各地裁でスタートし、九州は同年9月に提訴した。
今回の判決で、各地域の一次訴訟の結果が全て出揃ったことになる。
これまでの4つの判決のうち、札幌、東京、名古屋の3カ所で、同性カップルが結婚できないのは「違憲」という判断が示されていいる。
九州では福岡市在住のこうすけさんとまさひろさん、ミコさんとココさん、熊本市在住のこうぞうさんとゆうたさんが原告となり、裁判で「結婚が認められていないのは存在が否定されているに等しい」などと訴えて、結婚の平等実現のための司法判断を求めていた。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
【違憲状態】「同性カップルの結婚を認めないのは、『個人の尊厳』に反する」福岡地裁で4件目の違憲判決(結婚の平等訴訟)