<関連記事>「改正」が必要なのは今の杜撰すぎる難民認定審査のあり方では? 〜渋谷に7000人!入管法改悪反対デモ
国会で審議中の入管法改正案の廃案を求める動きが続いている。
各地で反対するデモや集会が開かれているほか、弁護士有志や国家公務員の労組も声明を発表した。
全国の弁護士有志たちは5月26日、「再度の入管法改悪法案に改めて反対する声明」を発表。この中で、次のように呼びかけた。
「私たちは、人権擁護の実現に携わる弁護士として、現在、参議院で審議中の入管法改悪法案(政府提出。2年前に廃案になった法案とほぼ同内容。)に対して、以下のとおり、意見を表明します。
もう一度、廃案に。 以上」
声明には、呼びかけた12人と賛同人570人の名前を並べた。
5月16日には、国家公務員らでつくる労組が加盟する「日本国家公務員労働組合連合会」(国公労連)が談話を発表した。入管庁の職員らを含む全法務省労働組合も加盟組織の一つだ。
談話の中で、「普遍的に尊重されるべき外国人の人権状況を憂慮するとともに、法務省・出入国在留管理庁の職員を組織する労働組合として、重大な欠陥をはらんだ本改正案の廃案を求める」と述べた。
現在の入管法では、難民認定の申請中の外国人は一律で強制送還が停止される。
一方、改正案では申請が3回目以降の場合、「難民認定すべき相当の理由」を示さなければ申請中でも送還が可能となる。
こうした改正案の規定について、国公労連は「非正規滞在者の生命や身体を危険に晒すことになりかねない」と指摘。
出入国在留管理と難民認定をめぐる様々な課題を解消するのに当たって、改正案では「およそ実効性を期待できないばかりでなく、むしろ外国人の人権侵害を助長し、さらなる国際的な批判を招くおそれがある」と警鐘を鳴らしている。
その上で、入管から分離・独立した機関が難民認定を担うことや、収容をはじめとする人身の自由の制限に当たっては裁判所の判断を介在させるシステムを構築することを求めた。
さらに、入管職員への心理的負担に関しても言及。「国際的な批判に晒されている出入国在留管理行政への従事を余儀なくされ、国家公務員として職務を遂行せざるを得ない職員の過重な精神的負担や労働環境の悪化も危惧される」と強調した。
このほか、難民支援などに取り組む7つの団体が9日に連名で声明を発表し、入管法改正案の廃案を求めている。
入管法改正案は2021年にも国会に提出されたが、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが名古屋入管の施設で死亡したことを受けて反対の声が広がり、廃案に追い込まれた。
今回の改正案は、廃案となった21年の旧法案をほぼ維持する内容となっている。
入管法改正案を巡っては、柳瀬房子・難民審査参与員の「申請者の中に難民がほとんどいない」などという発言が、立法が必要という根拠の一つとされてきた。
だが、難民審査の件数をめぐる柳瀬氏の証言や「全国難民弁護団連絡会議」の調査結果などから、その発言の信ぴょう性や、審査件数の著しい偏り、認定審査の適正さに疑念が生じている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「重大な欠陥はらむ」入管法改正案の廃案求める声相次ぐ。弁護士582人や国家公務員労組が声明