今年のゴールデンウィークは、どのように過ごされましたか。平日を休みにして、9連休にした方も少なくないようです。
心配なのは、毎年ゴールデンウィーク明けに体調を崩したり、気持ちが落ち込んだりする人が多いこと。いわゆる5月病が起こりやすくなりますが、どうすれば防ぐことができるのでしょうか。
5月病の正体とそうならない連休明けの過ごし方を、横浜鶴見リハビリテーション病院(横浜市鶴見区)の吉田勝明院長に教えていただきます。
5月病というと病名のように聞こえますが、医学的にはどんな病気なのでしょうか。
「5月病というのは、正式な病名ではありません。医学的には、次のような病気をこの時期に発症すると、5月病と通称されています」(吉田院長)
▼適応障害
学校・職場環境など外的ストレス要因によって発症し、体調や気分がすぐれない。
▼うつ病
原因不明のストレス要因によって発症し、思考力の低下ややる気の喪失、憂鬱に陥る。
▼パーソナリティー障害
感情や衝動がコントロールできなくなり、対人関係を含む広い領域に障害を生じる。
▼パニック障害
突然強い不安に襲われ、動悸、めまい、発汗、窒息、手足の震えなどの発作を起こす。
▼不眠症
寝つきが悪い、途中で起きて眠れない、朝早く起きる、熟睡できないなどの睡眠障害。
「5月は入学や進級、就職や転勤など、節目を超えたあとの燃え尽き症候群(バーンアウト)に陥りやすい時期です。そのため、これらの病気にかかることがあります」(吉田院長)
5月病を防ぐには、連休明けをどう過ごせばいいのでしょうか。
「大切なことは、連休明けだからといってバリバリ頑張り過ぎないことです。仕事や勉強に戻る時の適応がうまくいかないと心身のバランスが崩れるので、ゆっくり“ならし”ながら動き出しましょう。
特に気をつけるべきポイントは、次の4つです」(吉田院長)
「連休中に夜更かししていた人、ゲームやSNSで長時間デジタル機器を使っていた人は、生活リズムを戻す必要があります。起きる時間、寝る時間を決め、規則正しい生活を心がけましょう。
朝は太陽光を浴びることも大切です。別名『幸せホルモン』と呼ばれるセロトニンが増え、不安の解消につながります」(吉田院長)
「精神的な疲労は、肉体的な疲労に置き換えることで改善することができます。だるい、体が重いという感覚が続くようなら、散歩や運動で汗を流し、夜はぐっすり眠りましょう」(吉田院長)
「連休中に食事内容が偏っていたり、食生活が不規則になっていたら、食事バランスや時間を見直しましょう。特にタンパク質の摂取量が足りないと、うまく感情をコントロールできないこともあるので、肉や魚、大豆製品などをバランスよく摂ることを心がけましょう。
また、入浴もリラックス効果を高めます。38~40℃くらいのぬるめのお湯に肩までつかってあたたまりましょう」(吉田院長)
「休み明けだからといって、無理な計画を立ててバリバリ頑張りすぎないようにしましょう。休み明けだからこそゆっくりならしながら動き出すべきです。
また、ストレスは常にあるものと考えて、上手に付き合う方法を考えましょう。同じ立場の仲間を探して悩みを共有するか、家族や友人に悩みを打ち明けるとストレスが軽減します。いろいろと頭で考えず、行動本位になることをお勧めします」(吉田院長)
とりあえず朝起きて洗顔し、歯磨きをして……などなど、行動を主体にしていくと物事がうまく回転し、5月病を避けることができるようです。
みなさんもこうした対処のしかたで、連休明けのスランプを乗り切りましょう。
【関連記事】
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
5月病とは?症状と“4つの対策ポイント”を聞いた【連休明け】