「仲間を殺すな」「改悪ではなく在留資格を」。入管法改正案に反対のデモ

雨が降り注ぐ中、入管法改正案へ反対の意思を示そうと多くの参加者が集会に詰めかけた=東京・杉並区

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「私たちの仲間を殺すな」ーー。

非正規滞在の外国人の収容や送還ルールを見直す入管法の改正案が衆院法務委員会で可決されたことを受け、改正案に反対する集会が5月7日、東京都杉並区であった。

強い雨の中、参加者たちは「入管法改悪反対」「改悪ではなく在留資格を」などと書かれたプラカードを掲げながらデモ行進した。

デモの前に高円寺中央公園で開かれた集会では、難民申請が却下された当事者や支援者らがマイクを握った。

ミャンマー出身で少数民族ロヒンギャのミョーチョーチョーさんは、3度目の難民申請を2カ月前に却下されたという。

「国にいると自分や家族の命が危ないから、2006年にミャンマーから日本に来ました。今まで難民申請を続けてきましたが、全然認められません」と話し、「(自国に)帰らないのではなく、帰れないのです」と訴えた。

名古屋出入国在留管理局で収容中に死亡したスリランカ人ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の遺族も登壇。

妹のワヨミさんは、「国会は姉の死の真相を明らかにして、入管に責任を取らせてください。それをせずに入管制度を変える法案を成立させることに、私はウィシュマの遺族として納得できません」と抗議の意思を示した。

遺族代理人の駒井知会弁護士は、「日本では明らかに今も難民が難民として保護されていない。そういう状況がずっとずっと今日まで続いています」と、入管体制を批判。「ウィシュマさんは、日本が国際人権法さえ守っていれば死ぬことはなかった。もうウィシュマさんの悲劇を繰り返したくないんです」と声を張り上げた。

集会とデモは、一般社団法人「反貧困ネットワーク」などでつくる実行委員会が主催し、賛同団体は100を超えた。

申請中でも送還が可能に

現行法では、難民認定の申請中の外国人は一律で強制送還が停止される。一方、改正案では申請が3回目以降の場合、「難民認定すべき相当の理由」を示さなければ申請中でも送還が可能となる。

さらに、航空機内で抵抗して送還を妨害した場合などを対象に、罰則付きの退去命令制度も新たに創設する

申請が繰り返される背景にあるのは、難民認定のハードルの高さだ。

日本では2022年に過去最多の202人が難民認定されたものの、年間数万人を認定する他の先進国と比べ依然として認定数の少なさが際立っている。

2年前に廃案 ⇒ 骨格変わらず

入管法改正案は2021年の通常国会にも提出されたが、ウィシュマ・サンダマリさんが死亡したことを受けて反対の声が広がり、廃案に追い込まれた。今回の改正案は、21年の旧法案をほぼ維持する内容となっている。

4月28日の衆院法務委員会で、改正案は自民、公明、維新、国民民主の賛成多数で可決された。立憲、共産は反対した。改正案は近く衆院を通過する見通し。

改正案を巡っては、国連人権理事会の特別報告者らが日本政府に対し、国際人権基準を下回っているとして「徹底的な見直し」を求める共同書簡を4月18日付で送っている

<取材・執筆=國崎万智(@machiruda0702)/ハフポスト日本版>

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Machi Kunizaki