「食の課題は絡まった毛糸」アタラシイおいしいは、作り手と食べ手の交流から生まれる

ハフポスト日本版は「アタラシイおいしい」をテーマにしたイベントを渋谷区・北谷公園で開催。フードトラックを出店し、規格外のトマトとプラントベースのSAI MEAT(サイミート)の煮込みなどが販売された=2023年4月29日撮影

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ハフポスト日本版は、5月に創刊10周年を迎えることを記念して、4月29日に東京・渋谷で地球にも人にも優しい「アタラシイおいしい」をテーマにしたフードトラックをSEE THE SUN /Food Up Islandと一緒に出店した。

誰にとっても身近な「食」。食の作り手にハフポストのメンバーが加わり、来場者と交流しながら、食やおいしいの新たな一面に触れてもらう取り組み。

場所は東京都渋谷区の北谷公園。ここで定期的に開かれている子どもから大人まで楽しめる「JINNAN MARKET」にフードトラックを出店し、規格外のトマトと豆たんぱくや小麦たんぱくが主原料のSAI MEAT(サイミート)の煮込みや、さつまいもを芋麹で発酵させ自然の甘みを引き出したペーストを使ったクリームペンネ、カカオ豆の殻から抽出したお茶カカオハスクティーなどを販売している。

フードトラックで販売されたメニューの一部

フードメニューを考えたのは、気候変動やフードロスなどの社会課題を食の作り手と生活者が協力しながら解決することをめざす森永製菓発のベンチャー企業「SEE THE SUN」(金丸美樹代表)と時にはライバル同士の大手食品メーカー7社が手を取り合って未来づくりを推し進める食の共創コミュニティ「Food Up Island」(FUI)だ。

ハフポストは、「アタラシイおいしい」を体験した人たちと会話してみた。

横浜市から訪れた田辺扶弥さんは、さつまいものクリームペンネとサイミートの規格外トマト煮を購入。サイミートを一口食べて、「鶏肉の繊維みたいな感じはないけど、大豆からできていると思うと違和感はない。本物の肉に似せる必要はなくて、素材をいかした新しい食べ物ということで広がっていけばいいのでは」と話した。

都内在住の橋本尚一郎さんと園部達理さんは「おいしいのかな?」とカカオハスクティーを注文した。「おいしい」「遠くにチョコレートを感じる」と初めて飲んだ感想を語った。 

「アタラシイおいしい」をテーマにしたイベントのトークショー。

金丸代表とハフポスト日本版の泉谷由梨子編集長らのトークショーも開催。どうやって食まわりで新しい価値を生み出していくか、どんな食産業の未来をめざしているかについて語り合った。

フードトラックで、トークショーの参加者にはビールの絞りがらを使ったクッキーと、酒粕マヨと芋麹で発酵させたさつまいもペーストが盛り付けられたクラッカーが配られた。

これら試食の開発に携わったのは、FUIだ。

トークショーではクッキー開発の裏側が明かされた。金丸さんは「ビールに使われた麦芽の絞りがらをただ再利用するのではなく、より価値を高めておいしくしてしまおうと考えた」と説明。ビールメーカーから絞りがらを提供してもらい、まずはクッキーを開発したという。 

トークイベント中、試食を兼ねたクイズが行われた

次はトマトの話題に。

規格外の実の利用に目が行きがちなトマトだが、栽培の過程で発生する葉っぱや茎も意外なものに生まれ変わることも披露された。

FUIの小野木洋さんが「パン」「フライパン」「ジーパン」の3択のクイズ形式で会場に質問が投げかけた。

「ジーパン」という答えに会場からは驚きの声が上がった。

葉っぱと茎は粉状にしたうえで加工し、横糸の一部に配合しているという。そうやって作られたジーパンの価格は、一般的な商品より高くなってしまうとのことだが、小野木さんは「循環型の社会をつくっていれば」と期待を寄せた。

泉谷編集長は「個人として何か社会のためになることをしたいと思っているは多いはず。でも、ハードルがある」と指摘。これに対し、金丸さんは「食の課題は毛糸がぐちゃぐちゃに絡まったようなものだと思っている。何か一つに取り組むだけでは解決にはつながらない。生活者や食べる人と作り手を近づけていきたい」と解決に向けていろんな立場の人を巻き込んでいくことの大切さを強調した。

  JINNAN MARKETは30日も開催予定だったが、雨天予報のため中止が決まった。

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Rui Hosomi