地球上の人類の数は、2022年11月に80億人に達しました。この人口増加は今後も続くと考えられていますが、新たな報告書では、人口増加が2040年の「85億人」で止まる可能性があることが指摘されています。
*Category:サイエンス Science *Source:sciencealert ,Earth4All
地球の人口増加の是非については、経済や技術に良い影響を与えるという賛成派と、環境や社会的調和へのリスクを強調する反対派が激しく議論しています。人口が減少すれば、エネルギー、住宅、食料、水などの必要量が減少することは確かです。しかし最も重要なことは、教育や健康への大規模な投資が必要であり、高齢化社会における経済的不平等を克服しなければならないということです。
これらの驚異的な転換は、大多数の人々にとって政策と投資のロードマップとして設計されている。それは、手の届かないユートピアを作ろうとするものではなく、異常な圧力にさらされる地球上で強靭な文明を築くための不可欠な基礎となるものである。
今回の「Earth4All」という報告書の予測は広範な調査に基づいています。まず、環境の安定を脅かす過剰消費の原因は、世界の上位10%の富裕層がほとんどであるとのこと。
環境科学者のヨルゲン・ランダース氏は「Earth4All」の中で「人類の主な問題は、人口ではなく、贅沢な炭素と生物圏の消費です。人口が最も急速に増加している場所は、何十年も前に人口がピークに達した場所に比べて、一人当たりのエコロジカルフットプリントが極めて小さいのです。」と述べています。
現在、人口増加率が最も高いのは、アンゴラ、ニジェール、コンゴ民主共和国、ナイジェリアなどアフリカのいくつかの国と、アフガニスタンなどアジアのいくつかの国です。分析では、中国から米国、サハラ以南のアフリカまで、10カ国・地域が考慮されています。
研究者らは、地球上で長く繁栄できる人類集団を形成することを目標に、科学的データを用いて、主要地域ごとの人口増加を予測しました。
対して、最悪のシナリオが「Too Little Too Late」。このシナリオではまず、世界がこれまでと同じように推移していくと予想。これは、出生率、貯蓄・負債水準、税率、所得モデルなどの変数が現在のパターンを継続するという前提です。
すると、世界人口は今世紀半ばに88億人のピークを迎え、2100年には73億人にまで減少します。しかし、経済成長と人口増加が鈍化するにつれて、世界的な不平等・エコロジカルフットプリント・野生動物の絶滅が増加。特に経済力の弱い国や貧弱な政府では、国内外での社会的格差が拡大し、地域崩壊が増加する可能性があるそうです。
このような最悪のシナリオの一方で、「人口減」には変わりないものの、より楽観的なシナリオもあります。
「Giant Leap」と呼ばれるシナリオでは、世界人口は2040年頃に85億人でピークに達し、今世紀末には60億人まで減少すると予想しています。このシナリオの決め手は、世界中で経済的不平等が分断の原因となり、民主主義と人類の進歩を脅かすものとして認識されるようになったことです。
この仮説の未来では、2060年までに極度の貧困が解消され、世界の人口増加にも大きな影響を与えることになります。このためには、大規模な貧困削減投資と、革命的な食料・エネルギー安全保障、不平等、ジェンダー平等の政策が必要です。
共著者である心理学者・経済学者のパー・エスペン・ストークネス氏は「低所得国の急速な経済発展が出生率に大きな影響を与えることは分かっている」と指摘。「出生率は、女の子が教育を受けられるようになり、女性が経済的に強化され、より良い医療を受けられるようになると低下します」と述べています。
なお、研究者らは他の主要な予測について人口増加の解決策として急速な経済発展を見落としている、と指摘しています。
研究者によれば、国連のモデルでは、その傾向に至る経緯や将来の変化について説明することができないとのこと。例えば、ある社会の出生率と死亡率がなぜ歴史的な基準から逸脱しているのか、そしてそれがその社会の未来にとって何を意味するのか、ということなどです。
また、ランダース氏は「富裕層の極端な資源利用が減れば、すべての人にとって良い暮らしが可能になる」と述べており、先進国における資源節約の重要性を訴えています。
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