ガチの「最終面接と採用会議」をワンキャリアが公開。就活の“ブラックボックス”に切り込む理由は?【就活解禁】

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就活が解禁する3月1日にあわせ、ワンキャリアがこれまで表に出ることがなかったであろう「最終面接と採用会議」に密着したドキュメンタリーを公開した。第一弾のDeNAの面接は、合格すれば本当に採用が決まる“本物”の最終面接だ。

これまでにも「#ES公開中」や「#就活の真実」など、タブーに切り込み「就活の透明化」に挑んできたワンキャリア。なぜ今回「面接の透明化」に踏み込んだのか。

学生と向き合い、これまで多くの生の声を聞いてきたワンキャリアの寺口浩大さんは、「3月から就活が始まる24年卒は、コロナ禍が始まったばかりの2020年4月に大学入学した世代。例年に比べて面接への不安が圧倒的に強い」という。

「面接で自分らしさを出せない後悔をしてほしくない」。そんな思いから始まった「面接を透明化するプロジェクト」の背景や狙いを聞いた。

株式会社ワンキャリアの寺口浩大さん

「コミュニケーション自体」が不安な就活生

ワンキャリアの調査によると、就活に不安を抱える学生のうち、「面接の対策が不安である」と答えたのは72%で最多。次に多いのが「グループディスカッションの対策」だ。

「緊急事態宣言下に入学して、授業もほとんどオンライン。69%がサークル活動をできなかった世代です。双方向のコミュニケーションの機会が失われ、“コミュニケーション自体”に不安を強く抱いているんです

また、就活の状況の変化も不安につながっているのではないかと寺口さんは分析する。

「コロナ禍が明け、オンラインからオフライン面接へ移行することが予想されます。さらに三菱商事が6月の面接解禁を待たずに3月から開始すると発表しており、スケジュールも多様化する見込み。まさに“過渡期”となる就活に不安が募っているのではないでしょうか」

説明会など就活のオープン化が進む中、ブラックボックスのままな「面接」

コロナ禍の影響もあり、会社説明会をオンラインや動画で配信したり、OB・OG訪問がしづらい代わりに社員の働き方をSNSで発信するなど、ここ数年で就活の透明化が加速したと寺口さん。

しかし、面接はいまだにブラックボックス。調査では面接が不安な理由について、「どんな質問が来るのかわからない」「何を見られているかわからない」「選考に落ちたとき、落ちた理由がわからない」などが多く挙げられている。

Z世代は“堅実な世代”と言われていて、よく分からないものに投資しにくい。一社だけに依存するのはリスクと捉えて、6割が就活の時から、入社後に転職する可能性を視野に入れているんです」

株式会社ワンキャリアの寺口浩大さん

企業側も変わり始めている。メルカリは働き方のリアルをデータで公開したり、ナイルは人事評価制度と給与の考え方を公表したりしている。金融大手のSMBCも、自社の退職者へのアンケート結果を元に、社内外のキャリアパスをオープンに発信し始めている。

「採用候補者や社員を、お金ではなく“時間”を投資する投資家だと考えてみてください。投資家は『様々な、多様な』といったふわっとした情報では投資先を選ばないですよね。自分の時間を投資することで何が得られるのか、明確でなければ選ばれない時代です」

自分らしさを出せない後悔をしてほしくないから。面接と採用会議をオープンに

3月1日に公開した「#いきなり最終面接」の動画第一弾は、DeNAの担当者と学生の「ガチ」の最終面接から、採用するかどうかを話し合う会議まで密着したドキュメンタリー。寺口さんが特に印象的だったのは、最終面接を受けた2人の学生が口を揃えて言った言葉だ。

「動画のアフタートークで2人は合否の話を全然していなくて、後悔していたのはむしろ自身のことを“考えきれていなかった”ということでした。自分らしさを出せない後悔をしてほしくない。動画や 『1000社の面接質問集』を通して、企業と学生がお互い本音で話せる面接を実現する助けになればと思っています」

渋谷駅に掲出されたワンキャリア「いきなり最終面接」の広告

もちろん、オープンにする方法は動画で公開するだけではない。それぞれの方法で、面接が透明化する動きが連鎖していってほしい、と寺口さんは語る。

「企業の採用に関わる人が、『そもそも面接ってなんだっけ?』と考えるきっかけになれば嬉しいです。面接の目的が『一方的にジャッジする場』ではなく、『お互いを深く知ること』なら、どんな質問をするか、どんな点を見ているかをオープンにできない明確な理由って、実はないんじゃないかと思うんです

「僕も面接で自分にウソをついて、後悔したことがあるんです」

寺口さん自身も就活をしていた時、「学生時代頑張ったこと」を途中から変えて、後悔したことがあると言う。

「本当は学生時代、バンドを頑張っていたんです。でもバンド活動を伝えるのって説明コストも高いし、面接で話しても『あ、バンドか』と言われてしまった。だから途中から『家庭教師を頑張った』話に変えて、『生徒の課題を発見し、信頼関係を構築し、何点まで伸ばしました』みたいな、“面接でウケる”話に変えたんです」

配属先はどこでも行くと言わなきゃいけない。第一志望と言わなきゃいけない。そう思って自分にウソをつきながら就職したが、数年後には心身ともに辛くなり、残念な形で転職することになったそうだ。

「自分にウソをついたままだと、結局どこかでツケが回ってくるんだなって。今までもいろんな採用担当や社会人と話してきましたが、共通して言うのは『合格不合格以上に“合う合わない”が本当に大事』だということです

株式会社ワンキャリアの寺口浩大さん

ワンキャリアの「面接を透明化するプロジェクト」では、「#わたしの最終面接」キャンペーンも実施。それぞれのファーストキャリアの体験談を投稿してもらうことで、「合う合わない」の大切さを、エールと共に学生さんに伝えたい、と寺口さんは言う。

「最終的に目指しているのは、『人の数だけ、キャリアをつくる』こと。そのためには、『それぞれの価値観で選ぶ』ことと、『確かな事実に誰もがアクセスできる状況を作ること』が必要です。就活って、その人の働く価値観のベースになるようなものなので、ぜひ就活生や採用担当だけでなく、働く皆さんにも注目してもらいたいです」

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Maya Nakata