2月19日に行われたエールディビジのアヤックス対スパルタ・ロッテルダムの一戦。4-0でアヤックスが勝利を収めましたが、この試合でアヤックス所属のモハメド・クドゥス選手が行ったゴールパフォーマンスとそれに対する主審の異例な行動に賞賛が集まっています。
モハメド・クドゥス選手は、ガーナ代表の22歳。19歳でA代表に選出されると、これまで21試合に出場し、7ゴールを挙げています。2022年に行われたカタールワールドカップのグループリーグで対戦した韓国との試合では、決勝点を含む2ゴール。今注目を集めている若手FWです。
この試合でもスタメン出場を果たしたモハメド・クドゥス選手は、3点リードで迎えた後半39分に約20メートルの位置からのフリーキックを決めました。
その時に行ったゴールパフォーマンスは、通常であれば審判から警告を受ける内容でした。しかし、今回は特例で警告を受けないで試合が終了します。
モハメド・クドゥス選手が行ったゴールパフォーマンスは、ユニフォームを脱ぐ行為です。本来であれば、選手がユニフォームを脱いだときには、イエローカードが提示されます。なぜ今回は警告を受けなかったのでしょうか。
モハメド・クドゥス選手がユニフォームを脱いだとき、インナーに『R.I.P ATSU(安らかに、アツ)』の文字が書いてありました。ATSUとは、先日起きたトルコ・シリア大地震で亡くなった同じくガーナ代表31歳のクリスティアン・アツ選手のことです。この理由から、審判からの警告を受けませんでした。
これまでもこれらの警告に対する議論が行われることがありました。人の死を嘆き悲しむというとても人間的な感情と行動が、処分されたことになるからです。これは審判の判断がとても難しいと思います。
このような警告は、これまでにも多くありました。
最近でいえば、マラドーナ氏が亡くなったときにメッシ選手が、ゴールパフォーマンスをした時にも警告がでました。この時にメッシ選手がインナーに着用していたのは、かつて自身も育成組織に所属し、マラドーナ氏がキャリアの晩年にプレーしたことでも知られる、ニューウェルズ の古いユニフォームです。
2010年南アフリカワールドカップの決勝でイニエスタ選手は、前年に命を落とした親友のダニ・ハルケ氏を追悼するためのメッセージも同様に警告が出されました。
ドログバ選手の、アパルトヘイト廃止に命をかけ、南アフリカで黒人初の大統領になったマンデラ氏に向けた追悼メッセージを見せたとき。イブラヒモビッチ選手の、飢餓に苦しむ人たちの名前が彫られた上半身を披露し、世界飢餓問題を訴えたときもそうです。カバー二選手の、シャペコエンセの選手たちが乗っていた飛行機が墜落し、多くの犠牲者が出たことに向けたメッセージを見せたとき、全てに警告が出されました。
これまで多くのことが起こり、そのたびに多くの意見が出ました。しかし、ルールには、『ユニフォームを脱ぐまたはそれを頭にかぶった場合、選手は警告されなければならない』と記載があります。そのためルール上、警告を出すことが正しいことには間違いありません。
しかし、今回は違いました。試合後のインタビューで、モハメド・クドゥス選手はこう答えています。
「サッカーにはルールがあるが、これはサッカーを超えた、生と死の問題なんだ。レフェリーは、シャツを脱ぐことは許されないと言ったが、これはサッカーよりも大きな状況なので理解してくれた。レフェリーに大きなリスペクトを示したい」
さらに、インタビューでクリスティアン・アツ選手について
「僕は彼に惚れ込んでいたんだ。だから今回このようなことを行った」
「彼のプレーを見て多くのことを学んだ。アドバイスもしてくれたよ。僕が今日示したものはすべて彼に捧げるものだ」と自身の思いを答えていました。
さらにモハメド・クドゥス選手が伝えたい人は1人だけではありませんでした。
「アツは僕にとって身近な存在だが、このジェスチャーは地震で被害を受けた全ての人達へのものでもある。」これは、地震で被害を受けた全ての人達へのメッセージでした。
今回の件は大きく取り上げられ、同時に選手としても注目を集めました。モハメド・クドゥス選手は、若手スター選手としても注目されるFWです。この試合の次に行われたウニオン・ベルリンとのUEFAヨーロッパリーグでも1得点あげていました。さらに今シーズンリーグ戦で9得点をあげており、得点ランキングトップの11得点にとても近い位置につけています。今後の活躍がとても楽しみな選手ですね!!
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【海外サッカー】「ルールよりも大きなこと」主審が起こした異例な行動に称賛が集まる!!