宇宙に行く新しい手段として「宇宙エレベーター」が検討されています。この構想は19世紀頃からありましたが、長くSFの領域を出ることはできませんでした。しかし、新素材が開発されたことによって宇宙エレベーターが実現するかもしれません。
宇宙エレベーターを実現可能にする新素材と、製造にかかる費用について、海外YouTubeチャンネル「Bloomberg Originals」が解説しています。
*Category:テクノロジー Technology *Source:Bloomberg Originals,wikipedia
現在、宇宙に行くためには大量の燃料を使うロケットを利用しなければなりません。そのため、打ち上げの度に莫大なコストが発生します。一方、宇宙エレベータを使えば 宇宙に行くためのコストを大幅に削減できます。
しかし、宇宙エレベーターを製造するためには、巨大な重力に耐える素材が必要です。そこで開発されたのが「カーボン・ナノチューブ」です。この素材は、ケブラーやグラフェンよりも強いです。
物理学者のブラッドリー・エドワーズは、宇宙エレベーターを製造するためにカーボン・ナノチューブのケーブルを運ぶロケットを打ち上げ、ケーブルの一端を地球に向けて落下させるという方法を提案しています。そして最終的には、ソーラーパネル衛星や観光客などのペイロードを運ぶ十分な強度の宇宙エレベーターを作ろうとしています。
宇宙エレベーターはロケットより安価に宇宙へ行けますが、製造にはカーボン・ナノチューブが数千トン必要で、総額80億ドル(約1兆円)の費用がかかります。
地球の周りには1センチ以下の物体が1億2800万個、1〜10センチの物体は9万個飛び回っていて、いずれも衝突すると大きな損害を与える可能性があります。衝突に耐えられる宇宙エレベーターを製造することは難しいようで、現在の構想では宇宙エレベーターを移動式の石油掘削装置のようなものに取り付け、宇宙空間の危険物を避けられるような構造にしようとしているとのことです。
もし、宇宙エレベーターが誕生すれば、いずれ月や火星に安価で行くことができるようになります。そして、地球で不足している鉱物などを採掘することも可能になるでしょう。
宇宙エレベーターは、地球を離れる方法を大きく変えるだけでなく人類の宇宙との関係も大きく変える可能性があるのです。
オリジナルサイトで読む : AppBank
1兆円で「宇宙エレベーター」を実現する新素材