米国を代表するビッグ・テックは景気後退の影響により、一万人超の規模の大量解雇を進めています。しかし、このような情勢の中で、GAFAの中で唯一大量解雇を行っていないのがAppleです。
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Appleが前回大量解雇を行ったのは、共同創業者のスティーブ・ジョブズが組織に復帰した1997年のことでした。この際は、コスト削減のために約4,100人の従業員が解雇されています。しかし現在、Appleはテック界全体の景気後退にも関わらず、大規模な人員削減を行っていません。
今回の大量解雇は、1万1000人の雇用を削減したMetaから始まりました。続いてマイクロソフトも1万人の従業員を解雇すると発表し、ゲームを含む複数の部門を縮小しています。Amazonも同様に1万8000人の従業員を削減すると発表しており、1.4兆円の大赤字となっていたアレクサ関連の部門を縮小したと報告されています。
さらに最近では、Googleも1万2000人の従業員を解雇しました。同社のサンダー・ピチャイCEOはブログで、今回の削減は「焦点を絞り、コストベースを再構築し、人材と資本を最優先事項に振り向ける」ためだとしており、今後はAI分野に集中することを示唆しています。
この止まらない大量解雇の嵐を、Appleはうまく乗り切っているように見えます。その理由として挙げられているのが、ここ数年の「非積極的な採用」や「コストカット」です。
テック系メディア「appleinsider」が掲載した統計によると、同社は2019年9月から2022年9月にかけて、社員を20%増やしました。しかしこれは、他のビッグ・テックと比較すると非常に消極的といえるペースです。
2019年9月から2022年9月にかけて、Appleの従業員数は20%増の16万4000人の正社員となった。それに比べ、ライバル企業は採用に熱を入れ、同じ一般的な期間にマイクロソフトは53%、アルファベットは57%、メタは94%膨れ上がった。
米経済紙「WSJ」は、Appleは強固なビジネス基盤を持ち、採用ペースも遅いため、大量解雇を回避することができたと指摘しています。また、「社員のランチ無償」といったコスト流出に繋がる特典も行っていないとのこと。とはいえ、同社も景気後退と無縁ではなく、資金流出を食い止めるために思い切った手段を取る必要があるかもしれません。
例えば、2022年の時点で、同社のティム・クックCEOは今年は非常に「慎重」な採用を行い、会社に最も価値をもたらす人材のみを採用すると述べていました。また、「Appleinsiders」により、ECサイト「Best Buy」などを担当するAppleの小売店の従業員が、解雇予告通知を受け取っていることも確認されています。
また、手元資金を健全に保つために、Appleは従業員の特典を変更したり、完全にカットすることを余儀なくされるかもしれません。テック系メディア「wccftech」は、これはGoogleやMetaがとっているアプローチとは正反対だとした上で、それでも不必要な現金の流出を防ぐための方法だと指摘しています。
オリジナルサイトで読む : AppBank
GAFA「大量解雇の嵐」をAppleだけが回避できた理由
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