「座礁資産になるような、“無駄な”投資はやめて」“産業革命以来の大転換”GX基本方針案に若者団体が提言

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今、世界で産業革命以来の「大転換」が起きようとしています。

気候変動対策のため世界各国が温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」に向けて動いていることは、ご存知の方も多いと思います。さらにロシアのウクライナ侵攻によって、エネルギーの自給率や安全保障が、国の命運を大きく左右することを世界が再認識することになりました。

化石燃料中心だった産業構造・社会構造を、どう脱炭素化させ、“グリーンエネルギー中心”に転換していくか。日本政府は2022年12月22日に、「グリーントランスフォーメーション(GX)」 実現に向けた基本方針案を発表し、1月23日の通常国会に提出しました。

「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で発言する岸田文雄首相(左から2人目)=12月22日、首相官邸

「戦後における産業・エネルギー政策の大転換を意味する」と書かれている通り、とても重要なこの基本方針案。実は原発政策の大転換などが盛り込まれていますが、みなさん知っていましたか?みなさん国民の声は反映されているでしょうか?

1月19日、日本の若者4団体と自民、公明、立憲民主、日本維新の会、国民民主、共産の議員が集まり「GX実行のあり方を考える公開シンポジウム」が開催されました。

若者団体の4名は「GX実行に向けての提言」を行った上で、各政党の政治家に意見や質問を投げかけました。

左からFridays For Future Japanの植田亮さん、日本若者協議会の芹ヶ野 瑠奈さん、持続可能な社会にむけたジャパンユースプラットフォームの遠山未来さん、Climate Youth Japanの小林 誠道さん

若者からの提言の内容は?

原発の60年超運転や次世代型原発への建て替えなど、原発政策の転換ともいえる方針が盛り込まれている「GX実現に向けた基本⽅針(案)」。

これに対し今回のシンポジウムを主催する日本若者協議会は、「GX実行に向けての提言」を行いました。政策の内容面については、下の図のような提言を行いました。

「GX実行に向けての提言_日本若者協議会」※一部抜粋

また、提言では「原発の運転を60年超にするなどの⽅針を決定するまでの期間は、わずか4カ月だった」と指摘。

その間、国民の意見を直接聞く機会がなく、政策決定のプロセスについても問題があるとして、「公聴会や討論型世論調査、気候市⺠会議の開催」「若者の政策⽴案過程への参加」「党内に『未来世代委員会』の設置」を求めました。

座礁資産になるような、“無駄な”投資はやめて

自民、公明、立憲民主、日本維新、国民民主、日本共産の6政党の議員は、原発も必要とする立場と、再エネ100%を目指す立場に分かれました。

日本共産党の笠井亮・衆議院議員は、「GX実行会議のGは、(グリーンではなく)原発のGではないか?」と指摘。「政府は原発依存を低減する、新増設は行わないと言ってきたのに、選挙で民意を問うこともせず、原発推進に大転換したのが今回の基本方針案。勝手に決めるなと言いたい」と批判しました。

日本若者協議会の芹ヶ野瑠奈さんは、「原発は安定供給というけれど、逆に原発一基が止まれば多くの電気が止まることになる。再エネのような分散型の方が安定供給できると言えるのではないか」と議員たちに投げかけました。

原発やアンモニア火力発電などの技術革新が大事だというけれど、将来座礁資産になる可能性が高く、将来世代からすれば“無駄な投資”になりかねません。営農型太陽光パネルやプロペラのない風力発電など、再エネにもイノベーションの余地がたくさんあるので、そちらにもっと投資してほしいです」(芹ヶ野さん)

日本若者協議会の芹ヶ野瑠奈さん

国民民主党の竹詰ひとし・参議院議員は、「もしグリーンだけを追求すれば、質素な生活になる。みなさんは質素倹約な生活を選びますか?」と発言。「太陽光も、原子力もやるし、火力もCO2を減らしながらやるという、日本らしいベストミックスで進むべきだと思ってます」と主張しました。

それに対してFridays For Future Japanの植田亮さんは、「再生可能エネルギーに注力するということは、必ずしも貧しい生活になるというわけではない」と反論。

「再エネ推進と同時に経済成長も可能であると思いますし、石炭火力発電など他の発電方法と比べて再エネの経済的なコストも安くなってきています。ぜひそこを考慮して政策をつくっていってほしい」とコメントしました。

若者の意見、どうやって取り入れる?

持続可能な社会にむけたジャパンユースプラットフォーム(JYPS)の遠山未来さんは、「実際にどうやって若者の声を聞いてくれるのか」と政治家たちに質問しました。

全国キャラバンや、SNSでの発信、参考人としての招致や今回のようなシンポジウムなどの方法を各党があげた一方、日本若者協議会の芹ヶ野さんは、「いくら日頃から若者と意見交換していると言っても、結局GX実行会議のような政策決定の場で若者の意見が取り入れられてません」と指摘しました。

それに対し自民党のGX実行本部事務局長、井上信治・衆議院議員は「心に響きました」とコメント。「若者のみなさんの声を聞くのは、正直、まだまだ不十分だと思う。23日から国会始まるので、ぜひそちらの方も注視してほしい」と話しました。

一方、立憲民主党の山崎誠・衆議院議員は、「今私達が今目指してるのは『将来世代法』」だと言います。

「将来の世代、それも50年100年という視野で、今我々がやろうとしている政策あるいは制度が正しいのかというのを検証する委員会を国会の下に置きたいと考えています」

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1月23日に通常国会が召集され、グリーントランスフォーメーション(GX)推進法案が提出されました。

日本の産業構造・社会構造を左右する本法案の行く末を、みなさんも一緒に注視しませんか?

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「座礁資産になるような、“無駄な”投資はやめて」“産業革命以来の大転換”GX基本方針案に若者団体が提言

Maya Nakata