2023年は1月〜2月にかけて、5万年ぶりに地球に接近する緑の彗星が観測できます。
その彗星の名前は「C/2022 E3(ZTF)」。NASAジェット推進研究所によると、このZTF彗星は1月12日に太陽、そして2月2日に地球に最接近します。
地球に最も近づく時の距離は4250万キロメートルで、アメリカの惑星協会によると、この彗星が地球の近くを通過するのは約5万年ぶりです。
望遠鏡を使えば今でも観察できますが、地球に近づくに連れて、さらに見えやすくなるそうです。
NASAは、「現在の明るさのままで進むのなら双眼鏡で観察でき、暗い夜空であれば肉眼で見える可能性もある」と伝えています。
ZTF彗星は、北半球では1月に夜明け前の空で見られる可能性が最も高く、南半球では2月初めに観察できるそうです。
国立天文台によると、日本でもすでに夜明け前の空で見えており、暗い空では双眼鏡で観測できる明るさになっています。
また、現在は明け方の東の空で観測できますが、今後は夜中の北の空へと移動していき、2月になると夕方の北〜北西の空でも見えるようになるそうです。
さらに2月11日頃には、火星に近づく姿が夕方〜夜の空で観測できるといいます。
彗星は途中で崩壊するなどの可能性もゼロではなく、予想が難しい天体ですが、ZTF彗星は地球に近づく1月の終わりから2月初めにかけて、今よりも少し明るく見えやすくなると期待されています。
ただし、ZTF惑星は2020年に肉眼でも観測されたネオワイズ彗星に比べると見えやすさは劣るそうです。
惑星協会は「望遠鏡なしでは、明るい天体というよりかすかに緑がかった空の汚れのように見える可能性が高い」と伝えています。
国立天文台も「肉眼でぼんやりと見えるくらいのギリギリの明るさで、はっきりと認識するのは難しいため、双眼鏡を使っての観測をお勧めします」とハフポスト日本版の取材で説明しました。
それでも、ZTF彗星は5万年かけて太陽を周回しているため、今回は直接観察できる一生に一度のチャンスになるでしょう。
国立天文台によると、彗星はおよそ8割が水(氷)で、そのほかに二酸化炭素、一酸化炭素などのガスや塵から成る小さな天体です。
主成分が水(氷)で、表面に砂がついていることから「汚れた雪だるま」にたとえられるそうです。
この小さな天体は、太陽に近づくと本体(核)の表面が少しずつとけて崩壊。その時に本体の氷が蒸発して、表面からガスと塵が放出されます。
その結果、彗星の本体がぼんやりとした淡い光に包まれるように輝いて見えるようになり、これは「コマ」と呼ばれます。
さらに、本体から放出されたガスと塵がほうきのように見える「尾」を作ります。
ガスが太陽風に流され、細長く伸びたものは「イオンの尾(または、プラズマの尾)」で、塵が作るものは「ダストの尾」と呼ばれます。
ZTF彗星は、2022年3月にアメリカ・カリフォルニア州サンディエゴにあるパロマー天文台で発見されました。
天体写真家のダン・バートレットさんが2022年12月に撮影した望遠鏡画像は、ZTF彗星の緑がかったコマと短く広いダストの尾、そして長くおぼろげなイオンの尾を捉えています。
残念ながら、肉眼で見た時にはこのZTF彗星の緑色は綿埃のように淡い色になってしまうようです。
それでも地球に最接近する2月にかけて明るさが増すことを期待しつつ、5万年ぶりに地球の近くを通過する彗星の訪問者の姿を、双眼鏡を片手に眺めるのもいいかもしれません。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
緑の彗星が1〜2月に最接近。5万年に1度の出会い、肉眼でも見えるかも